二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 戦国BASARA【戦国の魔女】 ( No.19 )
日時: 2010/06/28 18:57
名前: 向日葵 (ID: DOGZrvXb)

第参話「傷」


「親方様・・・、こういうことなんですが・・・」
さっきの謙信とのやり取りを、信玄に伝えた。
「・・・・・・不老不死、か・・・」
考える顔ではなかったので、幸村が質問した
「・・・親方様?何か、ご存知・・・ですか?」
「・・・いや、・・・」
しばらく、2人は黙り込んでしまった。やがて、信玄が口を開いた
「幸村。佐助とともに、任務を2つやる」
「はっ、はい!どのような任務でしょうか!?」
「・・・1つ、この国を守り抜くこと!2つ!あの、少女を守るということ!」
「え・・・?ま、守るというのは・・・?不老不死だから、守らなくても・・・」
信玄が深刻な顔をして、言った
「いや、守ってほしいのは、少女の心のほうだ・・・」
「心!?」
「不老不死な。そんなにいいもんじゃない・・・。身体の傷は、痛みに耐えればやがて消してくれるが・・・。心の傷は、1つも治してくれないんだ。」
「・・・・・・」
信玄の言葉に、幸村は一時、呆然とした。
「この任務。受け取ってくれるか?」
「・・・はい!この、幸村!命に代えても任務をこなしてみせます!!」
「うむ・・・」
力強い幸村の答えに、信玄は短く返事をしただけだった・・・。



裏庭では、舞が一人遊びをしていた。
「ひとーつ・・・ふたーつ・・・みっーつ・・・よーっつ・・・」
何かを数えているようだった。
「・・・また、一人・・・死んだ・・・」
舞は、短く言った後、だまり込んだ。


『ひぃ!化け物!あっちへお行き!!!』

『・・・もう、無理よ・・・あなたさえ!いなければ!!!』


「死ね。生きてる価値なんか無い。お前さえ、居なければ・・・」



『心の傷は1つも治してくれないんだ』

その言葉のように、舞の瞳から一粒の涙が零れ落ちていた

第参話「傷」終