二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 鋼の錬金術師〜約束の月光〜 ( No.15 )
- 日時: 2010/06/24 19:51
- 名前: 皇林 (ID: EBIrcfyl)
「覚えておかなくちゃ……いけない?」
「……まぁな」
マリーは一瞬、その場の空気が重くなったと思った。エドワードとアルフォンスは俯いている。先ほどの態度からは予想もつかないほどに。だが、少女は怒りが収まらないらしい。
「人は物ではありませんよ! そんな事、創造主への冒讀です! 天罰が下りますよ!?」
「あの……もうそろそろ良いと思うよ。それより、お願いがあるんだけどね、いいかな?」
「教主様はお忙しいので中々時間がとれないのですが、貴方方は運が良い」
「悪いね。なるべく長話しないようにするからさ」
マリーが少女に、「コーネロ様に会いたいんだ」というと、少女はもちろん了解して、ついでにエドワードとアルフォンスも案内した。2人はすでにもう元に戻っている。マリーは心の底から安心した。
マリー達を案内している男は、なぜか冷ややかな目でマリーを見ていた。マリーはそれに気がついていたのだが、あえて無視していた。
「そうですね。……早く終わらせましょう」
男がそう言った瞬間、エドワード、アルフォンス、マリーに銃口が押し当てられた。マリー達を案内していた男以外にも、自分達がいる部屋に他の男達がいたのかと思うと、恐怖、という言葉よりも、気がつかなかった、という言葉が浮かんできた。
「まずはお前からだ!」
銃口が火を噴いた。銃弾がアルフォンスの鎧の頭をうちぬく。その鎧の頭が宙を舞い、近くに落ちる。そして鎧の身体も倒れた。マリーは目を丸くする。首からかけてある石に、熱い物が流れ込んでくるのをマリーは感じた。
「き……貴様ぁぁっ!」
男に銃口を押し当てられてはいる物の、両の手は自由だ。錬成は……可能だ。マリーは勢いよく手を合わせようとした、その瞬間。
「信者にひどい事させるんだなぁ……」
アルフォンスが立ちあがった。銃弾は確かに鎧に当たった。もう息もないはずだ。マリーは喜びと疑問のまじった感情に溢れかえっていた。そんなマリーをよそに、アルフォンスは自分をうった男を叩きつけた。
地面にたたきつけられた男は、そのまま動かなくなってしまった。
「エ、エドワード、さん……? ア、アルフォンス、さん……? ど……どう言う事?」
「……どうもこうも」
「こう言う事で」
自分に銃口を押し当てていた男を蹴り飛ばしたエドワードが、アルフォンスに近づき、鎧の身体を叩く。そこからは、コツコツという音が響いた。どうやら中身は空洞らしい。そして、アルフォンスが自分の身体を指さす。マリーはただただ目を丸くするだけだった。
「これは……『禁忌』というんだ。マリーさんは知ってるんじゃない? それを犯した……ボクも、兄さんも」
「……禁忌……」
いきなり後ろから襲いかかってきた、男2人をマリーはあっけなく伸ばしてしまうと、再びエドワードとアルフォンスの話に耳を傾けた。
「2人とも……真実を聞く勇気はあるか?」