二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 鋼の錬金術師〜約束の月光〜 ( No.20 )
日時: 2010/06/28 17:53
名前: 皇林 (ID: ELO8Nxwi)

 ゆっくりと室内に足を踏み入れた。中は薄暗いが、温度は涼しい。だが、寒がり屋なマリーの身体にはかなりこたえた。正面サイドにベランダがあり、そこに目的の男、コーネロがいた。マリーはコーネロを睨みつけた。その指には、赤く輝く石。

「神聖なる話が教会へようこそ、鋼の錬金術師殿、そして“たった1人だけの生き残り殿”」
「生き残り……殿?」


 エドワードが呟く。自分の事を鋼の錬金術師殿と呼んだのだから、マリーの事も当然月光の錬金術師と呼ぶ、と思っていたのだ。だが、生き残り殿とは何だろう。肝心のマリーは俯いている。

「そうだ。生き残り、だ。500人ほどいた族の、たった1人の生き残り。そうだろう? その瞳の色は。あとは全員」
「だまれっ! それ以上言うと……それ以上言うと私は自分を制御できなくなる……っ!」


 コーネロが言い終わる前にマリーが叫んだ。コーネロは意味深気に笑う。そして再びエドワードの方を見た。アルフォンスがマリーに駆け寄る。


「違う……違う……! あれはっ……あれはぁっ……!」

 マリーが声を絞り出すように出している。アルフォンスがなんとか支えようと、マリーの背中を優しくなでた。コーネロは怪しげに笑うと、エドワードに言う。

「教義を受けにきたのかね?」
「はっ。とりあえず……単刀直入に言わせてもらうけど、教えてもらいたんだよね。……せこい技で信者達を騙す方法とか」


 エドワードが言うと、コーネロの目が見開かれた。マリーは正常さを取り戻し、エドワードの横に並ぶ。エドワードは横目でマリーを見た。その瞳を。赤朱色の瞳をしている。特に変わった所はない。

「嘘でしょう……! コーネロ様っ!?」
「当たり前だ、ロゼ。さぁ、早くこちらにおいで」

 コーネロが手招きすると、少女、ロゼは吸い寄せられるように歩いて行く。マリーはロゼを見つめていた。そして、コーネロを睨む。

「……ロゼさん。どうしてそんなにコーネロにこだわるの?」
「マリーさん……貴女も信者ですよね? さぁ、早くこちらに……」
「残念だけど。私はそちら側じゃないんです。ごめんなさい、嘘をついて」


 ロゼの瞳が悲しげに見開かれた。そのまま踵<きびす>を返すと、コーネロの元に向かって行く。マリーはロゼを見つめている。只その瞳は悲しげにゆれていた。


「さて……」

 ロゼがそばに来たのを確認すると、コーネロは呟いた。

「貴方方には消えてもらうとしましょう」






    〜あとがき〜

今回ほんのすこ〜しだけマリーの過去が明かされた(?)のでしょうかね!ハイ!
次回……。やっと戦いスタート!気合入れて書きたいと思います♪