二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【烈人と玲菜が】ボカロで学園【コラボってみた】 ( No.54 )
日時: 2010/06/30 18:21
名前: 烈人 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)

第六話:大好きだとかどーですか




「はいっ」

 確かに、気まずさは残っていた。けど、もうどうにでもなれという気持ちのほうが強かったと思う。
 完全に気付いてしまったこの想いに、もう嘘なんてつけないから。
 伝えたい。だから、伝える。フラれるとか、もうそんなの考えない。

 あたしは、レンが好きだから。
 この想いだけで、もう十分だよね? ねえ、レン。

「……あ……」

 あたしに気付いたレンがあたしの方を見て、差し出されたノートを取った。
 できれば今すぐ中を見て欲しかったけど、一時間目は社会。
 借りてたノートは社会のノートだから、きっと気付いてくれる。
 今すぐ読んで、なんか言ったら恥ずかしいし。大丈夫、きっと大丈夫!

 今更後悔なんてしないし、そんなのしたって遅い。
 当たって砕けたらいい。……できれば砕けたくは無いけど。

「……あ、うん」

 あたしの手から、レンの手へとノートが渡る。少々気まずそうにしていたレンだったけど、次の瞬間にはにっこりと笑顔を浮かべていた。
 一番見たかった、レンの笑顔。思わずあたしも、顔が綻んでくる。

「ったく、ちゃんと授業受けろよな?」
「わかってるよー。あ、でもまた貸してもらうかも」
「授業受けろ」

 いつもどおりの会話。いつもどおりのあたし達。いつもどおりの笑顔。
 全てがいつもどおりに戻って嬉しいと思う反面、あたしはこのいつもどおりを壊そうとしているのかな、なんて考える。
 ……だめだめ。もう余計なことは考えない!

 ねえレン、あたし、レンのこと大好きだよ。

 気付くのに時間が掛かってしまったけれど、……この想いは、伝わるかな?


**


 昨日のことがあって気まずかったけど、リンはいつもどおりのリンだった。
 なんだ、緊張していたのは自分だけか。馬鹿だなあ。
 これで席を離れ離れになるだろうし、今日はたくさん喋っておきたい。
 たくさん喋ってたくさん笑おう。席替えぐらいで大袈裟かもしれないけど、リンの笑顔をしっかりと刻み付けておこう。

「……はぁ」

 でも。それは別にいいんだ。駄目なのは、俺のこの感情。なんで、『好き』になった?
 駄目なんだ。駄目だって、わかってるんだ。けど、『好き』になってしまって、止められなくて。
 いけないって、わかってるのに。こんな感情を抱くほど、哀しいだけなのに。

 それでも、俺は。リンのことが、『好き』なんだ。

「……レン? 先生来たよ」

 リンに声を掛けられて、ふっと我に返る。社会の先生が入ってくるところだった。
 いつもどおりの号令が掛かって、いつもどおりに授業が始まる。
 『いつもどおり』。今までは、リンが隣にいるのが俺のいつもどおりだった。
 これも、今日で終わりか。席替えでリンの隣になれたりしないかなあ。……無理か。

 授業が始まる。慌てて教科書を開き、そしてリンに貸していたノートを開く。
 ぱらぱらとめくって。探していたページを見つけて。その、ページの端っこには。

 小さな字で、本当に小さな字で、書いてあった。
 なにが? それを理解するのに、結構時間が掛かったように思う。
 理解したかった。嬉しいはず。すぐにでも理解したいはず。
 それでもどこかでしたくないと思うのは、全て『あのこと』があるせいだ。
 

『好き』


 リンの字で書かれた、その言葉。

 溢れてくる、『好き』の気持ち。

 だめだと。いけないと。わかっている、はずなのに。

 それでも俺の手は筆箱を探り、無意識のうちに文字を紡いでいた。


『大好き』


 とめらない。


 なあリン、どうすればいい?






                          六話*えんど




!後書き!
短いかな……。こんなのでごめんねorz