二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【烈人と玲菜が】ボカロで学園【コラボってみた】 ( No.62 )
- 日時: 2010/07/01 16:56
- 名前: 烈人 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
第八話:今伝えるよ
今は、こうしてるだけでいい。そう、思っていた。
なのに。
かすかに微笑みながら、いつもとは全く違う穏やかな様子で静かに寝息を立てるリン。
いつものリンから、あまりにかけ離れていて。なんだか哀しい気持ちになって。
ああリンはこんな表情も見せるんだって思って、今まで知らなかったことにため息をついて。
抱き締めたい衝動を抑えながら、完全に寝てしまっているリンの背中に自分の背中をつけて座る。
伝えたい。伝えたい。大好きだって伝えたい。でも、それはだめ。だめだって、わかってるのに。
「……好きだ」
思わず口から零れ出た言葉に、はっとなる。自分は何を言っているんだ。
寝ているだろうから聞こえてはいないと思うけれど、……どうしよう。
伝えたい。溢れてくる、好きの気持ち。どうして伝えられない。伝えたければ伝えればいい。
でも、それはできない。リンは知らないけれど、この『恋』は普通じゃない。
——だったら、尚のこと。リンに伝えて、でもリンは覚えていなければいい。
今この瞬間、想いを伝えるチャンスじゃないか? いや、正確にはもうついさっき言ってしまったけど。
何回伝えても、きっとこの想いは底を尽きない。永遠に消えない、ずっとずっと。
「大好き」
伝えよう。何回も何回も伝えよう。目を覚ましている時に伝えられないなら、目を閉じている時に。
こんな時しかちゃんと気持ちを伝えられないのは残念だけど。
……でも、今なら伝えることが出来るのだから。
「ずっと前から好きだった」
精一杯伝えよう。届くことのない、好きの気持ちを。
「だめだってわかってたけど、それでも好きになった」
なぁ、リン。リンはこんな俺を許してくれるか?
こんな馬鹿でどうしようもなくてただ悩むことしか知らない俺を。
「ごめん。いつかは話さなきゃって思ってたけど、……ごめん」
本当に、ごめん。きっと、いくら謝っても足りないよな。けど俺は、俺は。
謝ることしか知らないから! それしか、できないから! だから、謝り続ける。
意味の無い謝罪を続けることしか、俺にはできない。
「……ごめん」
どうして、こうなってしまったんだろう。どうすれば、こうならないですんだのだろう。
それとも、もう——言ってしまえば、楽になれる? 告白すれば、楽になれる?
「……大好きだった。それは多分、これからも変わらないと思う」
もう、言ってしまおうか。全てを、言ってしまおうか。
……そうしたほうが、きっと楽なのに。けどそうすることを、俺の全てが拒んでいた。
ああ、俺はそこまでリンが好きなんだ。どうしようもないほど、好きになってしまったんだ。
「ごめんな……」
伝えよう。どこまでもリンを苦しめるようなことをしてはいけない。
『あのこと』を伝えるわけではない。伝える、伝えるんだ!
俺の気持ちを。想いを。リンに、全て。どうすれば、なんて考える必要も無い。
あのノート。ノートに頼ることになってしまうけれど、別にいいと思う。
多分俺は……リンにこの想いを受け入れてもらえたと知ったら、もう自分から言う必要もなく、ただ言葉が溢れだすだろうから。
顔が、綻んでいくのがわかる。もう想いに、嘘はつけない。
伝えても、いいよな? 『恋』することに、悪いことなんてないよな?
なあ、リン。
「……」
いつ、伝えるべきだろう。席替えで離れてしまうだろうから、……放課後までじゃないといけない。
次は、五時間目。多分五時間目になるとリンも戻ってくるだろう。
もしかすると昼休みのうちに帰ってくるかもしれないが、……どちらにしても渡すのは五時間目。
五時間目に渡せばいい。『どうせまたノート取ってなかったんだろ』とか言って、渡せばいい。
わかっているのだから。今のリンは、仮病だ。仮病でなければこんな幸せそうに寝れるはずがない。
それにリンが先生に言う前、「やばっ」と小さく呟いたのを聞いた。
それでも。
それでも少し心配してしまったのは——紛れもない、事実だった。
「ったく、仮病使いやがって。心配させんじゃねーよ」
小さく寝息を立てるリンの髪を、思わず撫でる。サラサラとした髪が、指の間をすり抜けた。
八話*えんど
<後書き>
すみませんでした。調子に乗りました。ごめんなさい。
>>59に思わず泣いたよ……! >>50見た後に読んだら涙腺崩壊してしまったよ……!
もう玲菜ぱねえ^p^ 全然意味不じゃないよやばいよやばいすぎるよ!