二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ボカロだってサッカーします!【イナイレ×ボカロ】 ( No.17 )
日時: 2010/07/02 18:15
名前: *yuki* ◆R61No/hCwo (ID: yjS9W/Zh)

*〜Story.2〜*


「お会計840円になりまーす。」

明るい店員の声。

は、うるさい中学生の騒ぎ声にかき消されてしまった。

「ねーねーテト!!すごいよネギパンだよネギパン!!」
「わーいアイスシューもあるー!!」
「に、ニンジンパンが!すごいわこのお店!!」
「おおおナスパンまでござるぞ!!」

そうだなすごいなここ。
いろんな意味で。
はたしてあいつらの手に取るものは売れているのだろうか。

「……あー、うるさいなぁったく。
レンはなんか買わないの?」

珍しく馬鹿騒ぎに参加してないリン。
俺と同じく傍観者の立場である。

「ああ、別に俺はテトに連れてこられただけだし……。」
「ふーん。まああたしもなにも買わないわ。
ここの店主味覚おかしそうだもの。」

うん、その意見には賛同するけど、ちょっと引っかかるところがある。
お前、いつも俺に支払いを任せるくせに……。
『買わないわ』じゃねーよ、『買ってもらわないわ』だろ?

……そんなことを考えてると、どうやら買い物は終わったようだ(支払いはカイト)。
そして荷物はカイトに持たせているようだ。どこまでも可哀想なカイト。

「さあ、帰るぞ。
ほら、リン、レン、そんなところに突っ立っていないで……」
「はーい。」
「へーい。」

正確には突っ立っていたのではなく、お前らを観察していたのだが。
……ああ、もう文句を言うのはやめにしよう。意味がない。

とまあ、そんなこんなで店をでると。


ドンッ。

「あっ、わっ……」

カイトが誰か少……女?とぶつかり、
スローモーションのようにテトのフランスパンが……

「ああぁーーっ!!!」

テトの甲高い叫び声があがると共に、フランスパンは地面に落ちた。

気まずい沈黙が数秒間流れ。

「きっ……君、なにをしてくれるんだぁー!!」

テトは少女につめより、大きく肩をゆさぶった。これまでにないほどの真剣な顔で。

空色の髪と紅い眼がゆれる少女。
……でもなんで学ランを……。

「あ、すいません、あの……俺、じゃあ買うんで……」

テトの手がピタッと止まった。

「……本当か?本当に買ってくれるのか?
君は実にいいやつだな!」

よかったなテト。
優しい子で。

……って。

『俺』?とな??


……僕っ娘の一種ですかあなた。



この時、俺たちがこの出会いによって、大きく変わることになるとは知らずに……
俺は悠長にそんなことを考えていたのであった。