二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】太陽と、 ( No.5 )
日時: 2010/07/04 20:42
名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: Dqv4019I)
参照: 世界が変わるという事は、僕も変わるという事

▼story01 「逃亡者、」

暗く、足場の狭い螺旋階段。
打ちっぱなしのコンクリート作りで、手摺も何も無い。
下層は暗闇に呑まれて見えない程深い、円柱型の縦穴トンネルが広がっている。

此処は、時計塔の内部。

足音を響かせて走り続ける、僕等の影。
やがて僕は力尽きた様に、其の足を止めた。

「────ッ……はぁ、はっ……」

僕は震える膝を掴んで踏み止まり、肩で何度も荒い呼吸をした後、力無く壁に背中を預ける。
湟謎も立ち止まり、僕の前まで戻った。

「……っ……御免……」
「いや。」

湟謎自身も息を整え、暑いのかネクタイを緩めている。
彼を横目に、僕は尋ねた。

「此処まで来れば、安全?」
「俺達が安全圏に辿り着くには、地球を出なければならない。」

安全圏。其の言葉は、今の僕等には程遠い物だ。
僕等は逃亡者。
自分の使命を投げ捨てて、逃げてきたのだ。

「そっか。でも、奏羽と乙霧は大丈──」

僕が言い掛けた時だった。
幾つもの足音が、下層の暗闇から除々に此方に近付いている。

「案外早くバレたな。」
「上からも来るよ。」

上下から沢山の兵士等の足音が、トンネル内に木霊する。
足音から見て、数は100は居そうだ。
直に彼等は姿を現した。予想通り、100は居る。

「仕方が無いが、殺るしかないな。」

意を決した様に、勢い良く駆け出す僕等。
構えの体勢になった僕は、兵士に向かって突進する。
同時に、湟謎も携帯していた短銃の引き金を引く。
其れに怯えた兵士等は、投飛ばされ、闇の中に落ちて行く。
しかし、兵士の数は多く、限が無い。

「ったく、此れじゃ殺られるのが越智だ!」

常に冷静な湟謎でさえも、焦りが見受けられる。
そんな湟謎の頭上から、気付かれない様に降りようとする兵士がいた。
ハッと気付いた僕は、叫ぶより先に身体が動いていた。

「───湟謎、危ない!」

叫んだと同時に降りて来る兵士。
背を向けていた湟謎を庇って、咄嗟に前に出た僕は、兵士に腹を横蹴りされる。



「あっ………」



「────雅焔!!」

ふっ飛んで、階段の外へ落下していく僕の身体。
其の僕に必死に手を伸ばし、咄嗟に地を蹴る湟謎。


僕等ハ闇ニ引キ摺リ込マレル様ニ落チテ行ッタ。 
 ─鎖ナガラ其ノ姿ハ、闇ヲ舞ウ蝶ノヨウダッタ─


 丁度其ノ時、時計塔ノ針ガ
   11時58分ヲ指シテ、停マッタ─