二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】太陽と、 ( No.8 )
日時: 2010/07/04 20:50
名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: Dqv4019I)
参照: 人には必ずしも心に闇と光がある

▼story04 「太陽に絶望」

「すまない。今部屋が余って無くてね。悪いんだが二人で使ってくれ。」

そう言って近藤さんが僕等に与えてくれた部屋は、全てが始まった此の部屋だった。
僕と湟謎だけにしては少しばかり広い此の部屋を借りたのだから、我が儘は言ってられない。

「とんでもないです。こんな立派な部屋。」

お世辞では無く、僕等が使うには立派過ぎる部屋だった。
テーブル、鏡台、小さいがテレビまでついている。
立派な其れは、例えるなら旅館の一室だった。

野垂れ死んでいたかもしれない僕にとっては、上出来すぎる程上出来。
近藤さん始め真選組の皆には本当に頭が上がらない。

「本当に、すみません。」

お礼の意を込めて、深々と頭を下げる。

「雅焔ちゃん。違うよ。」

顔を上げると、少しだけ怒った表情をした近藤さんが居た。
何が違うのだろう。

「そう言う時は、有難うだ。」

フッと表情を緩める近藤さん。
僕も釣られて笑った。
改めて僕がもう一度頭を下げようとした時、其れは沖田さんの一言で阻止される。

「そういえば、アンタの居た世界は如何なんでィ。」
「────え。」

ほんの一瞬、僕の思考回路が停止した。
何時かは話さなくてはならない、と思ってはいたが、こんなにも早いとは予想してなかった。
しかし、此れから僕は、此処でお世話になるのだから、話した方が良いのだろう。

「嫌なら話さなくてもいーぞ。」

土方さんが黙った侭の僕を気遣ったのか、そう優しく言ってくれたが、僕は首を横に振った。

「いえ、此れからお世話に為るんです。僕等の事を少しでも知っていた方が良いでしょう。」

そして一つ深呼吸をして、僕は全てを話す為、重い口を開いた。


僕が先ず話したのは、化学技術等の発達。そして、他の星の移住について。
最後に僕はまるで付け足しの様に、太陽消滅の事も話した。
翌々考えてみると、少し此処の世界と似た様なものがあるような気がする。

「太陽が消滅したァ!?」
「まじか。」

わいわい騒いでる近藤さんと沖田さんを横目に土方さんは尋ねた。

「お前等は太陽を見た事はあんのか?」
「いいえ。僕が生まれる前には消滅していたらしいです。」

僕がそう断言すると、暫しの沈黙が流れた。
其の沈黙を破ったのは、沖田さんだった。

「見てみますかィ。太陽。」
「え?」
「そうだ。そうすると良い。」
「えぇ?」

僕が声を荒げて言った時には、沖田さんは既に立ち上がって、襖の前に足を運んでいた。
そして、僕等に向かって手招きをする。

近藤さんと土方さんを見ると、そうしろと言う様な眼差しをしていた。
仕方が無く僕は慌てて立ち上がり、湟謎と共に沖田さんの方に急いだ。
未だ、心の準備が整っていない侭。




「此れが太陽でィ。」




沖田さんが襖を開けた途端、眩しい光が差し込んできて、思わず目を細めた。
襖の先にあったのは、此の世界には当たり前の、太陽。

眩し過ぎる太陽の光は、今間で闇しか感じてなかった僕等には少しキツい。
其れでも、当たり前の様に空に浮かぶ太陽に、僕等は釘付けとなった。


    初メテ太陽ヲ拝ンダ時。

   闇ニ染マッタ僕等ノ心ニ
     一筋ノ光ガ差シ込ンダ。
 

  神様、アンタノシタイ事ッテ何?