二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】太陽と、 07up ( No.18 )
- 日時: 2010/07/09 20:59
- 名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: s92qBU7.)
- 参照: 消せない痛みを潰すだけ
▼story07 「朝陽+α」
朝陽が昇り、自然と目が覚める。
小鳥が小さく囀り、陽の光が差す。
ド ォ オ オ オ ン
「総悟ォォォォォ!!!」
────────僕の爽やかな朝は、爆音と土方さんの雄叫びから始まる。
「テメー!! 朝っぱらから何しやがんだ!? おっ死ぬとこだったじゃねーかァァァァア!!」
土方さんの怒鳴り声が静寂な屯所内に響き渡った。
「土方さん、何寝ぼけた事言ってんですかィ? 其れを狙ったんでさァ。」
「よーし、刀抜け!! 今日という今日は許さねェェェェエ!!!」
青筋を立てる土方さんに対して、詫びれる様子もない総悟は、逆に清々しく見えた。
どうやら又総悟が土方さんに向けてバズーカを撃ったらしい。
隊士達は皆、毎度の事なので止めはしなかった。
────というより、止めたら絶対に自分にも被害が及ぶからだ。
僕も其れは判っているので、止めはしないが2人に歩み寄る。
「土方さん、総悟。お早う御座います。」
何時もの笑顔で朝の挨拶をする僕。
其の言葉に、2人の動きがピタッと止まった。
「あ……あァ。」
「お早うでさァ。」
顔だけ此方に向けて、2人も挨拶した。
「早く朝ご飯食べましょ。会議遅れますよ。……ホラホラ、湟謎も早く。」
そう言うと有無を言わさず、まだ刀を握ってる2人の背中とまだ半分夢の中の湟謎の背中を押す。
其の言葉と行動に、素直に従ってくれる土方さんに総悟と湟謎。
僕等が食堂に向かおうとした時だった。
眠気を跳ね飛ばすような元気な声が響いてきた。
「お早う御座います!! 皆さん!!」
声の主は、唯一真選組の女隊士である葉山 唯であった。
彼女は逢うと必ず声を掛けてくれて、笑顔を見せてくれる。
其の度に胸がきゅっとなるのは気付かないふりをした。
「お早う、唯。」
「お早う御座います、雅焔さん。」
笑顔で答えてくれる唯に微笑み、彼女の頬を思いっきり左右に引っ張る。
「いひゃ、いひゃいへふ。」
「此の前、敬語無しって言ったじゃん。素で接して欲しい。」
「れも……」
「僕も素で接してるんだから。ね? 唯。」
いい加減頬も限界に近い様で、唯は必死に首を縦に振っている。
ぱっと頬から手を話すと、痛むのだろう其処を手で覆っていた。
「じゃ、改めて行こ。雅焔。其れから皆さん。」
「そうそう。其れで良いんだよ。」
僕はそう言いながら、又喧嘩をしだしそうな土方さんと総悟の背中を押す。
其の時、後ろから僕には内容が聞き取れなかったが、ヒソヒソと声が聞こえた。
「……流石は仏の雅焔ちゃん。自然にあの2人の喧嘩を止めたぞ。」
「雅焔ちゃんもよくあんな殺気立ったとこに、平気で行けるよな。」
「副長も沖田隊長も、雅焔ちゃんには甘いんだから。」
「いやぁ、雅焔ちゃんが此処に来てくれて、本当によかったぁ。」
等と、隊士達が口々に言っていた事を僕等は知らない。
「総悟。」
「ヘイ。」
ド ォ オ オ ン ッ
──────訂正。
そんな事を言われているとはつゆ知らず、何故か真っ黒になった隊士達を見て呆然とする僕だった。
「…………?」
─────→
「………………。」
「………………。」
朝食も終わり、皆が会議室への移動を見送って、僕と湟謎は向合った。
さっきからずっと、僕等は黙った侭である。
「……雅焔。お前もか?」
「うん。何か変な感じ。妙に胸がざわつく。」
先程から、妙に胸のざわめきが止まらない。
かんな感覚に晒されるのは、前の世界以来だ。
懐かしいと言えば、懐かしい感覚。
────此れって
「屯所に、誰か────来てる。」
僕がそう言うと、湟謎も黙った侭小さく頷く。
そして────僕等は会議室に視線を移した。
屯所ニ誰ガ来テイルノダロウ。
胸ノザワメキガ止マラナイ今、
僕等は只────……