二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】太陽と、 07up ( No.21 )
- 日時: 2010/07/10 10:38
- 名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: /ih7MvrV)
- 参照: 思い立ったら、即行動
▼story08 「遥か遠くに」
「誰も……居ない、よね?」
キョロキョロ周りを見るが人のいる気配は無し。
僕等はついニヤリと笑いながら食堂を出た。
何故僕等が此処までコソコソとしているのか。
其れは只、胸のざわめきの正体を知りたいだけ。
────そう、只其れだけ。
先ず僕等が探索した部屋は、土方さんの部屋。
勿論、「御免なさい」と一言最初に謝ってから、僕等は部屋に入った。
「湟謎、足元に気をつけて。」
「其の台詞、其の侭お前に返す。」
「うッわ、酷ッ。折角心配してやったのにィイ……!!」
「なッ!?」
——————バターン!!
其処等中に散らばっていた書類が滑り、盛大に転ぶ僕。
なんと其の所為で机の上にある書類の山に激突してしまい、倒れた僕の上に崩れ落ちる。
重いし、痛いし、泣きそう。
「オイオイ、だから言ったじゃないか。」
「煩いなぁ……って、あれ?」
書類に埋もれた状態から起き上がった時、僕は偶々目に映った一枚の書類を手に取る。
其の書類の内容を見た途端、僕は眉に皺を寄せた。
湟謎はそんな僕を見て、首を傾げながら近付いてくる。
「如何した?」
「…………此れ。」
僕は顔を俯かせて、書類だけを手渡した。
湟謎は顔を顰めながら、其の書類に目を通し始めた。
「……警察庁長官から、真選組への親書。【『 』ヲ真選組参謀総長ニ任命スル。】」
「………………。」
書類の一部を読み終えた湟謎の其の表情は殺気に満ちたものに変わる。
「……チッ」
「あ、湟謎!!」
バンッと音を立てて、部屋を出て行く湟謎を僕は急いで追いかけた。
僕等が向かう場所は只一つ────皆が居る会議室。
─────→
僕の遥か前を走る湟謎の背中は怒りで震えているように見える。
そして、スパーンッ!!と勢いよく会議室の戸を開けた。
「湟……謎…君?」
シーンと静まり返った部屋に、俯いた湟謎と其れを見上げる近藤さんの其の言葉だけが小さく響いた。
僕も其の後直ぐに、湟謎に追いつく。
「あ、君達が居候の子達ですね。俺は天田 佐介です。よしなにね。」
近藤さんの隣に座る新隊士らしき人が、僕等に向かった微笑んで自己紹介をした。
皆が動揺する中、一人だけ落ち着いた様子の佐介は、平然としている。
「……って、言わなくても知ってるか。」
平然としながらハハハと笑う佐介に、ズカズカと歩み寄る湟謎。
青ざめる隊士達を尻目に無言で通り過ぎ、佐介の前に立ち、彼を見下ろす。
そして──湟謎は佐介の胸倉を掴み、拳を振り上げる。
「湟謎、ストップ!!」
そう叫んだ僕は思わず佐介の前に飛び出した。
其の直後──バチィィィン、という強い音と共に襖に叩き付けられる。
僕を含め皆、一瞬何が起こったか理解できなかった。
最初は何も感じなかった左の頬は、徐々に赤く腫れ痛みが広がっていく。
僕は殴られたんだと、漸く理解した。
「が、ががが雅焔ちゃんンンンンン!!!」
「湟謎君、何て事を!!」
どよめきが飛ぶ中、上半身だけ起こし頬を押さえ俯く僕は、暫くの間呆然としていた。
佐介は湟謎が僕の方へ視線を移している間に、緩められた手からスッと其の場を離れた。
「まったく、湟謎さんは本当に乱暴だな。そう思わない? 雅焔さん。」
「僕に振らないで。────佐介。」