二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:  時間 【鋼の錬金術師】 ( No.33 )
日時: 2010/07/03 21:18
名前: 魁菜 (ID: OXTNPTt9)

     *° 第9話 エドワード *°

『ラウナ。ラウナ』

 目の前には……彼がいた。まぎれもない、彼だ。トゥロー……。すぐそこにいるのに……届かない

『逃げろ! 逃げるんだ!』

 なぜ……叫んでいるの?

『イリシア!!』

 なぜ……

「イリシア中佐!!」
「な、ぜ——」

 ゆっくりと目を開ければ、そこにホークアイの顔があった。心底安心した表情だ。隣には、ハボック、フュリー、ファルマン、ブレダ、マスタング。
 そして……

「……トゥロー……?」

 金色の髪と、金色の瞳をもつ人間。だが……トゥローじゃない

「大丈夫か、イリシア」
「心配したっすよ、イリシア中佐」
「……ごめん。マスタング、ハボック少尉」

 マスタング達には私が倒れた理由が分かっているのだろう。
そして……トゥローが……否、違う。少年が心配そうな顔で尋ねてきた

「あんた、大丈夫か」
「……えぇ、ごめんなさい。……鋼の錬金術師殿」

 寝ていたソファから、ふんばって立ちあがろうとしたが、すぐに身体がふらついた。

「うっ……」
「イリシア中佐!!!!」

 そばにいたホークアイが私を支え、座らせる

「ゴメン、ホークアイ」
「そんな事より、自分のことを考えて。まだ完全に復活してないのよ?」
「……大丈夫。見てみなよ、マスタングが何か言いたそうにしているよ」

 私はマスタングを指さしながら言う。マスタングは嫌に笑いながら言った

「その通りだ。流石イリシア中佐だ。まぁ、座りたまえ」
「へーへー」

 少年がソファに座る。その隣に大きな鎧だ。……確か少年の方が兄だったような……?

「鋼の錬金術師殿。ラウナ・イリシアと申します。よろしくお願い致します」

 簡単に挨拶をして、軽く礼をする。少年はぎくしゃくしていた

「あ、お、オレは、エドワード・エルリック。よろしく、イリシア中佐」

 微笑みを返した。エド、ワードか……。エドワード……
世の中には、そっくりな人間もいる物だ。ね、トゥロー?