二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re:  時間 【鋼の錬金術師】 ( No.36 )
日時: 2010/07/05 07:23
名前: 魁菜 (ID: L529GKb7)

     *° 第10話 仕事 *°

「実は、南部の町で何やら厄介事が起こっているらしい。そこの視察に、鋼のとイリシアに行ってほしいんだ」

 何やら厄介事って……。ちゃんと調べてから言ってよ、マスタング……

「それに……鋼の。君達の探し物があるかもしれない」
「!! 本当か!!」
「あぁ。確実、ではないが。行ってみる価値はあると思うがな」

 ……マスタング。あんたひどいよ。さっきエドワードさんをトゥローと思って倒れた私も同行させるなんて……
 悪魔……いや、それ以上の悪……

「分かった。アル、お前もいいよな」
「うん。早く元の身体に戻りたいからね!!」
「元の……身体?」

 2人がはっとしたように私を見た。
その顔は、ものすごく青ざめている。まるで禁句の発言をしたかのように

「ま、まぁ……とりあえず任せたぞ。鋼の、イリシア。無理をしないようにな」

 話をそらした……? 

「ほら。資料だ」

 しぶしぶ資料を受け取る。そしてもう1度エルリック兄弟を見た。
まるで枯れた花のような……。それほどに、暗い顔をしている。何をしたというのだろう?

「あぁ、言うのを忘れていた。イリシア、君の探し物もだ」
「なっ……!!」

 私の探し物……。それは……。
失った一部の記憶を取り戻すための……“賢者の石”

「ありがとうございます、マスタング大佐」
「今更大佐なんてつけないでくれ」

 私は一礼すると、エルリック兄弟の横を通り過ぎた。そして囁いた

「明日の早朝、司令部前に集合、お願いします」

 返事は聞かずに……立ち去った