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　　　　　*°　第16話　キョウ　*°

　少女にひっぱられ、たどり着いた一軒の家。止まることなくひっぱられて、家の中に入れられた

「えっと〜……」

　家に入るなり、少女は戸棚をゴソゴソし始めた
エドとアルも入ってきて、私が座っているソファに腰掛けた

「あった〜!!」

「∑」

　……相変わらずの声の大きさに、身体がビクッとなった

「ほら、頬!!　見せて!!」

「あ……はい」

　血の出ている右頬を少女に向けた。すると少女は、消毒液のついたティッシュで頬を拭き、ばんそうこを軽くはってくれた

「……ありがとう」

「いえいえ!!」

「その……治療してもらったから名前ぐらいは覚えておかないと……。貴女、名前は?」

　微笑みながら尋ねると、少女は私の倍の笑顔で答えた

「キョウ!!」

「キョウ、か。ありがとうね、キョウ。私はラウナ。ラウナ・イリシア」

「そっか!　ラウナ!　……っ」

　急にキョウの顔がゆがんだ。その視線が己の右足に向けられた

「……どうしたの?」

「あー……さっきぶつかった時、足ひねっちゃったみたい」

　舌を出しながらキョウは言う。私はため息をついた

「無理しない」

「……ごめんなさ〜い」

「ハァ……。エド、アル。少し待っててくれるかな」

　エドとアルがうなずくのを見て、微笑んだ
この2人は、本当に優しい人間だ

　
「そんじゃ……キョウ、少しおとなしくしててね」

　久しぶりだからうまくできるかは分からない
　人間の時間を戻すのだから、軽いリバウンドが起きるかもしれない

　　　

　　　それを覚悟で、私は両の掌を合わせた