二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 嘘つきみー.くんと壊れた.まーちゃんパロ ( No.138 )
- 日時: 2010/08/23 18:02
- 名前: 烈人 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
【あなたとわたしとランデブー】
「れーな」
本名で彼女のことを呼ぶのは何年ぶりだろう。ぼんやりとそんなことを考えながら、俺の腕の中にすっぽりと収まっている華奢な体を抱き締める。
ひろと、ひろと。玲名からは俺の名前を呼ぶ声だけが聞こえて、どうやらまだ落ち着いてないらしいことを窺わせた。
「大丈夫だよ、玲名」
嘘だけど。大丈夫だって? そんなわけナイナイナイナイ。あるわけないよ。あったら怖い。いや本当に。
エイリア学園とか宇宙人とかそれは全部『あはは、実は俺達ただの子供達でした! 残念ながら宇宙人では無かったようです。強化人間でした、てへ!』なんて言葉で済ませれるものでは無いなんてわかりきったことだ。
学校破壊しちゃったし。迷惑かけたし。世界を騒然とさせちゃったし。まあ、様々な批判が飛ぶだろうね。
「ヒロトッ、ひろとっ……!」
それがはっきりとわかっているから、玲名はこんなに怯えてるんだよなぁ。全く、ウルビダはどこにいってしまったのやら。キャラ違いすぎるよね! って笑顔でいったら顔が砕かれそうな気がするのでそれは心に押しとどめておく。
何を、言われるんだろう。悲劇の子供達としてはさすがに扱われないだろうなぁ。普通に考えて。
まあ、エイリア石に手を出してのも半ば無理矢理とはいえど最終的には俺達から進んでだったし。嘘だけど。
あの時はお父様はサッカーが好き、ってことしか言われなかったっけ。それでエイリア石渡されて、『これで上手くできるよ。やってごらん』。結果がこれですハイ。
「大丈夫、大丈夫だから。きっと、俺達は世間に認めえもらえるから」
嘘だけど。いやいや常識的に考えて認められるわけないでしょうが。学校破壊したよ俺達。たくさん怪我さしたし。
確かにそれなりに覚悟はしておかなければいけない、かなぁ。まあ俺はもうできるけどさ。嘘だけど。
何はともあれここで俺まで玲名と一緒になって『不安』だとかなんやら発言したらネガティブゾーンに陥って抜け出せなくなりそうだから、言っておく。
「それに、もし世間から否定されてもさ。……俺は玲名のこと、大好きだから」
嘘だけど。
「……ひろ、と」
玲名が顔を上げた。頬は少々赤く染まっていて、目は泣いていたせいか真っ赤だった。
にっこりと笑って、玲名の頭を撫でた。ウルビダの時は凄く怒られる行動だけど、今の玲名なら問題ナイ。はず。
「有難う」
玲名も、俺につられるようにしてにっこりと笑った。あ、いつもより可愛いかも。いや、これは断じて嘘ではない。
さて、ここで完全に泣き止ますために締めといきますか。……玲名に聞かれたら殺されるよな、さっきの俺の言い方。
「明日はランデブーといこうか」
嘘だけど。行く気ないけど。でも玲名は、うん、と可愛らしく頷いた。やっぱりウルビダみたいな性格じゃないほうが、多少は可愛いよなぁ。ウルビダみたいに冷徹にはならないでくれよ、お願いだから。
「……好きだよ、ウルビダ」
最後にそう囁いておいた。嘘だけど。
*
またぱろぱろ。題名はハチPのマトリョシカより。