二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 嘘つき.みーく.んと壊れたまー.ちゃんパロ ( No.150 )
- 日時: 2010/08/25 11:13
- 名前: 烈人 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
【生意気奇談】
いつものようににっこり笑って、
「嘘だけど」
聞き厭きたよーって子供がごねる勢いで言ってみたら、「ダウト」って言われた。正解だから「正解」って返しておいた。それ以外に返す言葉ないし。
確かに耳にたこが出来るほど聞いてるかもしれないけど、別に飽きてるわけじゃないんだよなあ。不思議。摩訶不思議。果たして俺は本物のエイリアンに……ばからし。
「ねー、本当に嘘つくのが日課になってるよね。依存症ってヤツ?」
「俺が知るかよそんなもん。無意識です」
嘘だけど、と緑川は軽く付け足した。ほらまた言ったーなんて子供の遊びみたいに追求してるとアストロブレイクやらなんやら食らわせられそうな気がするので自重しておいた。
嘘、嘘嘘嘘嘘。嘘ばっかりつきまわる緑川は、けれど嘘を自分につかれると不機嫌になる、なんだか不思議な生き物だった。不思議……摩訶不思議! デジャヴ。
「んじゃ、練習いこっかー」
「え、今日って練習あったっけ!?」
「嘘だけど」
うぐぐ。小生意気に口の端を釣り上げる緑川に唸りしか返すことが出来なかった。全く……悪癖だよなあ。それはぼんやりとわかってるけど、でも別に矯正しようとは思わないし。ていうか無理だろうし。
よし、仕返しでもしてやろうか。そう思って、地べたから腰を浮かして緑川が顔を向けている窓から見える外の風景に割り込む。ぐっ、と緑川の顔に自分の顔を近づける。
不機嫌になった。邪魔だとでも言われそうだ。よし、そう言われる前に。
「恋愛として好きだ」
「ダウト」
「正解」
駄目でした。
むぐ。意外と強敵……ってさっきのは急すぎたか。なんか緑川に見下されているような視線を向けられた。有り難く頂戴しておいた。どうも有難うございます、でももうゴミ箱に捨ててしまいました。
じゃあ、鬱にでもなってみようかなあ。突発的にそんなことを考えて、緑川から距離をとった。そして室内の隅っこに体育座りでうずくまって、壁とにらめっこする。
「なにしてんの。床と親睦でも深めてんの?」
「……」
何も答えない。
「おーい」
返事しない。
「ひーろーとー」
無視。
「……」
緑川も何も言わなくなった。よし、ここで前座は終了だ。沈んでるような、落ち込んでいるような雰囲気を出す。壁に寄りかかる。そして俯いて、唇を噛む。痛かった。
できるだけ声のトーンを沈めて、小さな小さなでもとりあえず緑川には聞こえる声で囁く、っていうか呟く。
「……死にたい」
「ダウト」
「正解」
駄目でした。やっぱり急すぎるか……。よし、じゃあ今度はできるだけ急では無い物にしよう。もちろん言うことは嘘だけど。できるだけ真実っぽく聞こえるように、緑川のほうを向く。
そして悪意を含んだ目ってこんな感じなのかなー、って思いつつ少し目を細めて不敵に笑顔を浮かべてみた。わあ、俺気持ち悪い。まあいいか。
「俺ね、緑川のことだいっ嫌い」
嘘だけど。引っかかってくれるかなぁ、いやでもこっちのほうが急だよなぁ。そんなことを考えていると、緑川が一瞬不意をつかれたような顔をした。あれ、もしかして引っかかった?
次いで、目が潤む。泣きそうな目になる。……やば、やっちゃったのかも。
「……ダウト」
けど次の瞬間には涙もすっかり収まってて、いつも通りの緑川らしい、いやそれ以上に生意気な笑顔をにっと浮かべて、楽しそうに言った。
「……正解」
あー、本当に生意気だなあ。
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やっぱりぱろ。リュウジに嘘だけどって言わせたかっただけなのに「ダウト」「正解」がメインなってらw