二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 時代錯誤してました ( No.157 )
- 日時: 2010/08/26 18:08
- 名前: 烈人 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
【時代錯誤してました】
「あつい」
「いつものことだろうが」
クーラーをがんがんにかけ、扇風機を回しさらには保冷剤を腕やら脚やら頬やらにあてしかしうだる風介に、晴矢がたしなめるように言った。
室温二十二度。むしろ寒いぐらいなのだが、それでも風介には暑いのか色々な施しをした上で薄着をぱたぱたさせ空気を循環させる。
一方晴矢のほうはさすがに寒いのか、扇風機が風を送る範囲から逃げ、タオルケットを体に掛けている。
「ただいまーっ!」
そんなすっかりと冷え切った室内温度が、はきはきとした声と共に扉が開けられたことによってぐちゃぐちゃに掻き回された。むっとした空気が室内へ流れ込み、室内の冷えた空気が廊下へと流れ出る。
うるさいとでも言わんばかりに顔を顰めて風介は帰ってきたヒロトを睨みつける。同じく帰ってきたリュウジは別に声を荒げたりしなかったので、風介はヒロトを睨みつけることに集中する。
「相変わらずだねー、風介。知ってる? 急激な体温の変化って体に悪いんだよ!」
「ただいまー。寒いんだけどー。風介、せめて扇風機切ってよー」
ヒロトはにこにことしながら風介をいらいらとさせる言葉を吐き、リュウジは右腕に下げたスーパーの袋を高く掲げながら言った。しゅー、と扇風機の羽の速度が瞬く間に減速する。
風介が扇風機を切ったためだった。ひんやりとした冷気がさらなる冷気によって掻き回されることがなくなった。
「ん」
「またなんか奢ってよー」
そして風介が手を差し出すと、リュウジが笑いながらそういって右腕に掛けたスーパーの袋を取り、風介の手の上に置いた。中は、恐らく溶けてしまっているだろうがアイスだった。
袋からアイスを取り出し、冷凍庫へ入れることはせずに風介は立ち上がりスプーンを取りに行く。ふはーっ、と疲れた声を洩らしながら座った二人を見て、晴矢が思わずといった様子で声を上げる。
「……ちょ、リュウジ! お前顔真っ赤じゃねえか。どうしたんだ?」
「え? あー……これは時代錯誤の証だよ、うん」
「へ?」
リュウジの苦笑しながら曖昧とした答えを返したため、晴矢は間の抜けた声を返してしまう。ヒロトは「だよねー」と楽しそうに笑いながらリュウジの赤い頬に先程風介が立ち上がる時に置いていった保冷剤を押し当てる。
それと同時に風介がスプーンを持って帰ってきて、先程まで外出していた二人に尋ねた。
「で、どうだった? 雷門とプールへ行った感想は」
「楽しかったよー。疲れたけどね!」
けらけらとさほど疲れているようには見えないヒロトが笑いながら言った。しかしどうやら別にその問いに特別な意味は含まれていなかったようで、風介はただ「へー」と興味なさげに返しただけだった。
そこで話が途切れたのを見計らって、晴矢が尋ねる。
「んで、リュウジ。<時代錯誤>ってどういう意味だよ?」
「時代錯誤は時代錯誤なんだよ晴矢」
茶化すようにいうリュウジに、ヒロトが補足した。むっとなった晴矢を見たからのようで、リュウジを「こら」と笑い声を洩らしつついって軽く小突く。
「日焼け止めだよー。塗ったほうがいいって進めたのに、中学生だから塗らなくてもいいだろってリュウジがさ」
「あー……それでか。まあ、日焼け止め塗るとか女々しいけどな……」
「そこうるさいよ晴矢。結果がリュウジだよ!」
まあねー、と大して気にしていない様子でリュウジが言う。頬に保冷剤を当てているものの、顔は真っ赤なままだ。どうやら日焼け止めを塗らなかったツケが回ってきたのだろう。
朝っぱらから夕方までずっとプールに入りっぱなしだったんだから当たり前だろう、と風介がアイスにスプーンを突き立てながら口をはさむ。
「まあ、途中で水中サッカーしちゃったりしたんだけどね……」
あはは、と苦笑しながらヒロトが言う。その言葉に呆れたように晴矢が目を向け、風介はどうやらそれぐらいのことは予想していたのか特に何も言わずアイスを食べる。
「……そういやリュウジ」
ふと思い出したように晴矢がリュウジをほうを向き、尋ねた。
「お前、風呂どーすんだ? 痛いだろ」
「……時代錯誤の結果です。ごめんなさい。来年からちゃんと塗ります」
あまり遠くない未来に起こる出来事を予想しながら、リュウジが苦い顔で答えた。
**
リュウジ=俺
だってまだ中一なんだから日焼け止め塗らなくてもいいだろって思ってたんですよ……。
結果が顔真っ赤です。わー。友達に「酔っ払いww」って言われたんで「蹴るぞ」って脅しておきました。
この四人なのはただの趣味です← 風介がアイスを食べるシーンが書きたかった、ただそれだけです(ちょ