二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 嘘つき.みーく.んと壊れたまー.ちゃんパロ ( No.158 )
- 日時: 2010/08/26 20:38
- 名前: 烈人 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
- 参照: イメージぶち壊し気味の塔風ですのでご注意を。
〔空のらぶ〕
「×してる」
「嘘つき」
「×してる」
「嘘つき」
何度この終わらない取りとめも無いやり取りを繰り返したことだろう。数えようとぼんやり思考を巡らしてみたが、残念ながらどうにもならなかった。忘却している。というよりも、元から数えていないのだから当然の結果か。
×してるよ、塔子。何度目だろう。何度目だろう。何度目だろう。何度目だろう。知らないよそんなこと覚えてるわけが無いだろ俺に聞くなようるさいな。
×してる、嘘つき。もはや完璧にセットとなってしまっているこの言葉達は、交わす度になんだか観客の誰も居ない大きな大きなステージでひたすら漫才をやらされているような、空虚な空虚な空しい気分にさせてくれるのだった。
「×してる」
「嘘つき」
「×してる」
「嘘つき」
「×してる」
「嘘つき」
「×してる」
「嘘つき」
何度目だろう。何度目だろう。何度目だろう。何度目だろう。何度目だろう。だから知らないよそんなこと。
もういい加減飽きてきたから、細い華奢な性格とは違う女子らしい体を抱き締めてみた。触るな汚れる離れろ死んでしまえって罵られたけどどうでもよかったから離れなかった。
ぎゅう。骨ばった背中に腕を回して、力を込めた、あったかい体温が生まれた。少し暑かったけれど、どうでもいいような気分になった。何故だろう。何故だろう。知らないよ。
そのまま動くのも億劫だったから抱き締めたままで数分ほど俺も塔子も動かずにいると、今度は塔子にばかって罵られた。なんだか枯れた花のような弱々しい声だった。
「×してる」
「ばか」
「×してる」
「ばか」
〝嘘つき〟が〝ばか〟へと変わった。良くなったのか悪くなったのかそんなことわからなかったけれど、腕の中に閉じ込めた塔子の体が小刻みに震えだしたのははっきりとわかった。
押し殺したような笑い声だったのが耐え切れずあふれ出したのか、塔子は大声で叫んだ。俺の腕の中で。そこでわかった。塔子は笑っていたんじゃない、泣いていたんだ。
「×してる」
「ごめん」
「×してる」
「ごめん」
「×してる」
「ごめん」
〝ばか〟が〝ごめん〟へと変わった。嗚咽を時折はさみながら紡がれる彼女の声は、やっぱり弱々しくて儚げだった。
いつもの塔子からは全く想像できない姿に思わず戸惑ってしまったけれど、けれどこれも塔子なんだと体を抱き締める力に拍車を掛けた。少し苦しそうな声が上がったけれど、それでも塔子は笑顔だった。
「×してる」
「ごめん」
「×してる」
「ごめん」
それからはこのやり取りがずっと続けられた。俺は受け答えをやめることはしなかった。
したのは、塔子が「ごめん」と呟く前に早口で捲くし立てただけだった。
〝——ごめん、実は×してないんだ〟
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題名の読みは「からのらぶ」。シリアスな塔風が描きたかっただけだとかいえない。
そしてやはりgdgd意味不。とりま時期はDE戦後、風丸達がまだ立ち直っていない頃ですかね!(開き直るな