二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

バンレア ( No.169 )
日時: 2010/08/29 09:29
名前: 烈人 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
参照: 暴力描写アリアリノマカプ喧嘩ップル

[さっさと踊れよ馬鹿溜り!]


 腕を引っつかんで、ぎりぎりと歯を食いしばり俯き必死に堪えた悲鳴を歯の隙間から洩らすお前を思い切り殴ってみた。がつ、と鈍い大きな音が部屋に満ち溢れる。
 じんわりと、殴った右の握り拳に痛みが広がってきた。ああうっとおしいな、と思って顔を顰めながら頭を守るように頭皮に爪を立てて目を瞑っている唇を血で濡らしながら悲鳴を洩らすお前のもう片方の腕を引っつかんだ。
 頭から無理矢理に引き剥がすと、キッとお前は反抗的な目付きで急に顔を挙げ俺を睨んできた。なんだかイラついたから、蹴っておいた。靴のつま先が、綺麗に鳩尾に突き刺さるすっとする快感。

「痛い痛いなんて泣くなよ」

 ばかやろうが、と付け足しておく。鳩尾に突き刺さった靴のつま先はあえてのけずに、そのまま鳩尾を踏みつけた。がっ、と息が強制的に肺から撤去され口から吐き出される音が聞こえる。
 両腕で掴んだお前の腕を宙にほおるように投げた。力を失いぐったりとなった腕が、盛大な音を立てて床にぶつかる。

「てんで幼稚な手を叩こう?」

 誘うように、責めるように。自然と見下ろす形になりながらお前に向かって言った。嘲笑を声音に含ませながら、鳩尾をぐりぐりと踏む。ひゅーっ、と酸素を失ったのか口というより喉から直接酸素が漏れ出してきたような音が鳴った。
 愛しいような、壊したいような、よくわからない感情が膨れ上がる。殴ってもいいだろうか。もう殴ったけど。蹴ってもいいだろうか。もう蹴ったけど。壊してもいいだろうか。今壊しているけれど。
 愛しても、いいだろうか。これだけは本当に返事が欲しいと思った。まあ、無理だけど。

「ほら、記憶を全部投げ出せよ」

 捨ててしまえばいい。そうつけたして、鳩尾から脚の先をゆっくりとどけた。大きく深呼吸してむせ返る音を聞きながら、お前の隣にしゃがみ込む。びくりと体を震わせたけれど、どうやら動く気力はもう無いのか。
 鳩尾を抱え込むように腹部を両腕で覆って、体をくの字に折る。これで床に手をついていれば土下座なんだけどなあ、いや別に土下座なんてさせる気はないけれど。
 綺麗な綺麗な綺麗な綺麗な綺麗な綺麗な薄いお前の赤色の髪の毛を数本指に絡めとり、ぐるぐると巻きつけてみたり指の中で転がしてみたりといじくってみた。お前からの反応は何もなかった。

「こんな感情どうしようか」

 愛しいような、壊したいような。変な衝動のついて、なんとなく尋ねてみた。無論答えが返ってこないというのは百も承知だ。尋ねてみたのはただお前の声が聞きたかったという、ただそれだけだ。
 まあどうせ『知らないわよそんなこと』とかいう言葉すらも返ってこないだろうから、そして髪で遊ぶのも厭きたので華奢な震える体を抱き締めておいた。冷え切ったお前の体温が、じんわりと俺に浸み込んでくる。
 何かいってくれないかなぁとか考えつつしばらく横から抱き締めた状態でいると、


 世界が反転した。


 頭から床に落ちる形になって、首がごきりと嫌な音を立てた。そしてすぐさま重力に従って背中が真っ逆さまに床へと落下し、受身を取ることもままならず無防備な状態で背中は床へと投身した。
 脳髄に、眩しい閃光。肺の中の酸素はもれなくほぼ吐き出されることとなり、二酸化炭素とぐちゃぐちゃに交じって口から吐き出される。視界が色んな眩しいちかちかとした色で埋め尽くされた。
 赤やら黄色やら、ビビットカラーが異様に多い。これは、どういう状態なのだろう。痛みからきているものなのか、はたまた酸素不足できているものなのか。多分後者。ということは俺やばいのか。
 いやでもこれぐらいで俺死んだら人間って脆すぎることになるから死ぬまではいかないだろう。今からのお前の行動によるけれど。いつもはちゃんと整えられている髪を振り乱しながら、お前がいつの間にか俺に馬乗りになっていた。
 手にはシャーペン。待ておいそれで刺す気じゃないだろうか。そう思ったけれどそんなことよりまず呼吸を安定させるほうが先だと大きく深呼吸をしてみた。案の定、馬乗りされているせいで深呼吸はできなかった。

「足取り歪んでわんつーわんつー」

 けらけらと楽しそうにお前は馬乗りの状態から俺の顔を見下げて愉快そうに口元を歪める。お前の手に持ったシャーペンが大きく振り上げられた。って、おい待て。まさか本当に振り下ろす気じゃないだろうな。
 なんて突っ込みを許されないまま、結局シャーペンは振り下ろされることになった。どこへ。俺の右頬へ。シャーペンの切っ先が綺麗に頬をとらえた。一瞬痛みが灼熱して、ごりっと骨を揺さぶった。
 悲鳴が出たのかはわからない。ぎっ、と控えめな悲鳴が口元から迸った。痛みは相変わらず酷いものの、それよりも酷い異物感が右頬にある。無論それはシャーペンの切っ先なのだが、それが酷く気持ち悪い。
 じゅっ、という音を共にゆっくりと、本当にゆっくりとシャーペンが引き抜かれていった。肉と鉄が擦れ、さらに痛みを生んだ。ぎぎっ、とまた悲鳴が食いしばった歯の間から迸る。
 
「さっさと踊れよ馬鹿溜りッ!」

 お前が、レアンが吼えた。たらりと血が流れ出るのを感じながら止血は別にしなくてもいいか、ていうかやり方しらねーよとか思っていると、またレアンがシャーペンを振り上げた。

「バーン様のこと、大好きです」

 ごり。今度は左頬にシャーペンの切っ先が突き立てられた。



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喧嘩ップルが書きたかっただけっていう。今から従姉妹の父に数学の授業受けるなんて考えたかねーな。
バンレア。台詞などはハチPのマトリョシカより抜粋させていただきました!

ストーリーテラーさんへ移転しようかしら。