二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

がらくたエレクトロニカ ( No.216 )
日時: 2010/09/09 18:51
名前: 宮園 紫奔 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)

   (がらくたエレクトロニカ)


 ばしゅっと差し出された提案を破壊してみせる。途端、やはり予想していた通りにレアンは盛大に顔を顰めてむーっと唸った。せめてもーって唸ってくれたら牛かよとか突っ込めたり以下省略。
 そもそも俺がずばっとレアンの提案を切ったのにはもちろん理由があってだな。なんて声に出さなきゃ伝わらねーよとかいう突っ込みは禁止。テレパシーを習得したから。五十年後に。多分。

「なんで? なんでダイヤモンドダストのところに行っちゃダメなのよ?」
「ったりめーだろが。仮にも敵同士なんだから」

 コイツはジェネシスを目指す気なんてさらさら無いんだろうなぁ。まあ、それだけ純粋にサッカーを楽しめていることだろうから別にいいが。いや、俺らにとっては良くないのだが。
 ジェネシス争奪戦の中の一グループのプロミネンスのキャプテンである、俺にとっては。

「むー……いいじゃん、別に逢引きとかじゃないんだよ!?」
「それぐらいわかってるから。クララとかアイシーとかに逢いに行くんだろ?」

 敵同士なんだから、ダメなんだってば。そんな言葉ぐらいじゃレアンを納得させることなんて出来る気がしないから、どうすれば落ち着かせれるだろうと無駄とも思える思考をぐるぐると練りまわす。
 というかそもそも俺だって、どうして逢っちゃいけないのか具体的に知らねえんだよ。グランに一方的に命令されてるんだから、守らないと仕方ないわけなんだけど。

「それの何が悪いのよ? あたし達はね、敵同士の前に友達なの!」

 やっぱり、思考にまわした時間は無駄だった。そんなことを言われてしまっては、どう返せばいいかわからない。文句を言うならグランに言いに行ってくれ、なんていったら本気でいいに行きそうだしなぁ。
 敵同士の前に友達、ねぇ。俺とガゼルとグランの関係を表せそうな言葉……なんて言ったら二人ともから殴られて罵倒されるか。『やっぱりお前は馬鹿だ』と。
 できることなら、逢わせてやりたいと思う。けれど、さすがに俺にはそんなことできるわけもなく。だから、もし納得してくれなくても、これだけは言っておきたいと思う。
 しっかりと理解してくれなければ困るのだから。

「……レアン、言っておくが、今の俺達は<機械>だ。あのお方のために動く、<機械>なんだ」

 だから、あまり望みを持つことはしないでくれ。感情を、殺してくれ。そうじゃないと、俺達は狂ってしまう。

「…………」

 レアンからは、何も返ってこなかった。


(いつかは、きっと。)