二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 糸が解けた / 玲名+リュウジ ( No.243 )
- 日時: 2010/10/11 08:37
- 名前: 宮園 紫奔 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
( 糸が解けた )
「リュウジ、お前といると、なんか嫉妬とか苛々とかが全部消えてく気がする」
「へえ……って、苛々はわかるけど……玲名お姉ちゃんも嫉妬とかするわけ?」
そんなに完璧なのに、とリュウジは続けた。完璧だなんて、どの口が言っているのだ。今すぐ改造手術を施すべきか、と興味と冗談半々で思考をしてみる。そこで、ジェミニストーム——セカンドランクだった彼には、マスターランクの私達はそういう風に見えるのだろうかと疑問が湧いた。
確かに、サッカーに関しては私達は上級者である。どちらかといえば、リュウジ達が初心者級であるとしたら。とはいえ、強さ的には実際そうだった。それでも、少なからずサッカーのことに関して私達の間で嫉妬の糸が繋がりまわっていたのは証拠さえすぐさま出すことができる、列記とした事実だった。
「……完璧なんかじゃない。例えば私の上にヒロトがいたようにな」
確かにセカンドランクから見れば、私“達”が完璧な存在に見えただろう。けれども実際は、キャプテンであるヒロトが一番だ。仮にヒロトがそれで完璧だとすれば、ヒロトよりも劣っている私達は完璧じゃないことになる。
つまりそこで、嫉妬が生まれるわけだ。ベンチにいる連中がレギュラーの連中を嫉妬して、中々ボールを回されないレギュラーはたびたびボールをまわされるヤツに嫉妬する。そしてソイツは自分よりも遥かにたくみにボールを操っているヤツに嫉妬し、そのヤツは自分も強いのにキャプテンには選ばれなかった、とヒロト、すなわちキャプテンに嫉妬する。私はヒロトの下だから、どの箇所にしても嫉妬していることになるわけで。
そして私はそれをただの自論から結論づけているわけじゃなく、実際に今も尚、嫉妬してしまっているから。
「嫉妬、か……やっぱりそれは、階級づけでサッカーをさせられていたから、なんだよね」
「……そうかもしれないな」
そんな嫉妬などの負の感情より、楽しさや嬉しさや喜びがあれば。きっと、嫉妬の連鎖など起こることはなかった。個々が“アイツは自分よりも強いから、早くアイツに追いつこう”などとそんな風に前向きに考えていれば、嫉妬の連鎖は少なからずとも緩む。
そうなれば。そうなればもしかしたら、嫉妬してきたヤツらにヒロトが暴力をくらわされることも無かったというのに。確かに私はソイツらを許すことはできない。ヒロトと私はそれなりに仲が良かったし、よく相談などをしていたから。それでも私は、ソイツらの元へ説教などをしに赴こうとは思えなかった。
多少なりとも、その嫉妬の感情に共感してしまったから。
「じゃあさ、もう俺達は自由にサッカーをしていいならさ、」
リュウジの唇がそう言葉を作り上げると同時に、リュウジの口元がにっと上がった。すなわち、笑顔になった。先程までは無表情とも言える、無感情だけを顔に貼り付けていたというのに。
リュウジは、本当に楽しそうに嬉しそうに、言った。
「俺達はもう、何にも縛られなくていいんだよ。俺達をずっと縛ってきた糸なんて、もう解けたんだよ」
——だから玲名お姉ちゃんも、一緒にサッカーを楽しもう?
ああそうか、私達はもう、何にも縛られていないのか。
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私ごときが嫉妬を語ろうなんて十年以上はやいわ! と想いつつも、どうもおはようございますー。
あー、嫉妬なんて感情、消えたらいいのにねえ。あ、なんかタメなのは敬語をどう使えばいいかわからなかtttt(ry
嫉妬の塊の私なんて消滅しちゃえばいい。まあ人間なんて、結局独りになるのが嫌なだけっすよ。個々の存在の中の一番でありたいから、頑張るんでしょうね。……なんて語るのは三十年以上はやいわ!