二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

嫌いなわけがないよ、 / クラヒト ( No.263 )
日時: 2010/10/20 19:39
名前: 宮園 紫奔 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)

   *嫌いなわけがないよ、


 単刀直入に。練習が終わりクララの部屋を訪ねてると、クララが死んでいました。

「……え」

 背中に包丁が突き刺さり、真っ赤な血があふれ出している。ユニフォームはすっかり血を吸ってしまっているのか、赤く塗れている。なんというか、酷い違和感。うつ伏せで倒れてるのは置いといて、違和感がある。
 …………数秒ぼんやりと考えて、気付いた。そういや、全く血のにおいがしてない。あれ、血って無臭じゃないよね……違和感の正体はこれか、なるほど。

「くら、ら?」

 なんというか、なにをすればいいかわからなかったから——しゃがみ込んで、クララの肩に触れた。



「……なんで驚かないのなんで叫ばないのなんで泣かないの!?」
「いや、そういわれてもさあ……」

 真っ赤になった倉掛クララ様、復活。ばしばしとさんざん叩かれて、そしてそんな言葉が飛んできた。死んでいなかったらしい。いや、まあ気付いてたけど。
 どうして泣かなかったの何度も問い詰められる。……嘘だとわかってるのに驚いたり叫んだり泣いたりしないでしょう。むしろ呆れるだろう。さすがに絶句はしたけど。

「……で、どうして死んだフリなんてしたの?」

 とりあえずそれが知りたくて無理矢理にクララの言葉を中断した。話そらすな的な言葉が飛んできそうだと思っていたけれど、クララは薄く頬を染めて俯いてしまった。どうしよう、何か言葉を掛けるべきかな。と逡巡していると、クララはきっとした目つきで顔を上げて、勢いに任せて噛み付くように叫んだ。

「だ、……だってヒート、全然私のこと好きって言ってくれないから……っ!」

 ……不意打ち。少しこちらも恥ずかしくなってみたりする。というか面と向かってそういわれると、ねえ。というか、言ったことなかったか。……そういや、無かったかもしれない。
 お互い両想いだってわかってから、なんとなく雰囲気で付き合いだしたから……はっきりとした告白は、まだだっけか。

「だからっ……心配とか、してほしいなって……私のために、泣いてほしいなって……」

 早口で繰り出されるその言葉は、結局その勢いを失って俯き、ぼそぼそとした言葉で締めくくられる。

「……えと、ごめんなさい」

 そんな態度、されたらさあ。言うしか、ないじゃん。クララのことが嫌いなわけでもないのに。むしろ、大好きなのに。恥ずかしいけど、まあ、そんなのは知らん振りしておくとしよう。

「……ちゃんと好きだよ、クララ」

 さすがに少女漫画みたいに微笑みながら言うことは、できなかったけれど。







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ヒトクラ可愛いよヒトクラ。いや今家に帰るとryを聞いてるんで、気分的に。
どうしよう、ほのぼのにはまった。