二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

何もかも壊すことが(、できるというなら) ( No.285 )
日時: 2010/11/08 21:06
名前: 宮園 紫奔 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
参照: さくまり←ふど+げん

     何もかも壊すことが(、できるというなら)


 浅い溜息が洩れた。何がしたいのかもわからなくて、どう行動するべきかもわからなくて、この衝動を抑えるほど理性は強くなくて。思わず腕に爪を強く食い込ませて歯を食いしばり、そちらへ気をそらそうとする。
 深い溜息が洩れた。相変わらず馬鹿な自分の行動に、嫌気しかさしてこない。どうしていつもこうなんだろう、どうしてなにもかもが憎しみへ繋がってしまうのだろう。そんなことを、望んでいるわけじゃないのに。
 なにが、したいのだろう。いくら考えても、結局答えは出てこなくて。もう嫌いになってしまえばいいや、どうせ元から好きでも仲間でもなかったのだから。“嫉妬”の対象としてしか、見ることができていなかったのだから。
 今さらアイツへの認識を改めたって、純粋に接することができたって、どうにもならないんだ。



「嫌いなんだろ?」
 明らかな蔑みが含まれた、嘲笑。それに憤ることも逆上することもできず、その嘲笑を突っぱねて無視するしかない。自分でも呆れる程に、幼稚な行動だった。はっきりいえよ、嫌いなんだろ。心の中で自分を叱咤するけれど、それはふわりと一瞬で霧散してしまう。
「じゃあもう関わらなければいいだろ」
 そんなことできれば苦労なんてしない、そう言い返したかった。けれど声は出ずに、喉の奥につっかえて終わる。なんなんだよ、俺はどうしたいんだ。源田の言っていることは最もだろう、何で賛同の言葉が吐けないんだ。
「笹本と、もう関わらなければいい」
 そうしたかった。そうすれば、楽になれるはずなのに。アイツが佐久間へと向けてる笑顔や言葉を見るだけで、どうしようもなく自傷行為に走りたくなる。ただ憎しみしか生まれてこなくて、ひどくみじめになって。関わらなければ、いいんだ。それで全て解決するはずなのに、それでも俺は。
「……何がしたいんだろうな、俺」
 一人でに言葉が宙へと放り出される。自嘲気味な乾いた笑い声が、喉に張り付いてくつくつと鳴った。全くその通りだと、叫びたくなる。俺は結局どこまでも馬鹿で、どこまでも割り切れない、餓鬼だった。
 一人じゃ何もできない、ただ他人の助けを待っている。ちっぽけで愚かな存在。何がしたいのか、どうすればいいのか。答えは出ているはずだ。なのにそれを実行できないのは、紛れも無く俺の弱さが原因なわけで。
「お前は、好きなんだろうが」
 結局、アイツを完璧に突き放してしまうのが怖いだけで。もう十分、アイツ自身から嫌われて拒絶されてるのに。

「笹本のことが、好きなんだろ」

 それで、何か悪いのか。そうやって開き直ることもできず、ただ口からは溜息が零れた。


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