二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 何もかも笑うことが(、できるというなら) ( No.296 )
- 日時: 2010/11/14 10:09
- 名前: 宮園 紫奔 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
- 参照: さくまり←ふど←たか +げん / >>285続き
何もかも笑うことが(、できるというなら)
「じろーじろー! ねえ見てこれ!」
「あ? 雑誌? 雑誌とか持ってきてよかったっけ?」
「細かいことは気にしない!」
にかっとした明るい笑顔で佐久間に自分の呼んでいた雑誌を手渡す茉莉沙を見据えながら、忍が不動に喋りかけた。頬杖をついて退屈そうに本を読んでいる不動を小突くと、明らかに不機嫌な様子で不動は忍へと視線を向けた。
「ねえ明王、大丈夫? 最近、ずっと元気ないけど」
「……お前には関係ねぇよ」
そうやって忍の言葉を一蹴すると、うっとおしそうに不動が立ち上がる。昼休みの残り時間を確認すると、忍に薄い一瞥を残して廊下へと出て行った。かすかに忍は目を細めて、小さく溜息をついた。
「(そんなこと言われたら、余計に心配になるよ)」
心を中で、小さく呟く。不動を追いかけようかと逡巡し、一歩踏み出そうとしたとき茉莉沙に呼ばれ、ふっと振り返る。茉莉沙が先程の雑誌を手に忍へかけより、話しかけた。
「この服さ、可愛いよね? 次郎、趣味悪いとか言うんだよー?」
朗らかな笑顔に、不動を追いかけようとしていた忍の脚が止まる。無理矢理に強がって作り上げた、不動を追いかけてどうなっているのか聞き出すという決意は、その笑顔にあっさりと崩れ去った。
「そなの? 可愛いじゃん、この服」
「だよね、可愛いよね! もー、次郎ってば可笑しいよー」
何かが喉の奥でつっかえていることに、ぼんやりと気付く。けれども忍はその正体まではつかめずに、違和感の大きさに思わず眉を顰めた。居心地の悪い、すぐさま吐き出してしまいたい違和感。
何が原因の違和感なのか、全くつかめない。あたしは不動のことを気にかけてるんだ、それだけなんだ。無理矢理にそんな言葉で違和感を押し込もうとしたが、上手くはいかなかった。
*
「わからない。何がしたいのか、わからないよ」
あたしは佐久間のことが好きで、でも不動はあたしのことが好きなんでしょ? 自意識過剰、って思われるかもしれないけどあたし、聞いてしまったから。あんたと不動が喋ってるの、全部聞いたから。
嘘だと思った。否定してほしかった。不動のことは嫌いじゃないよ、好きとはいえないけど、嫌いじゃない。ただ前のことを引きずってるだけだから、それが吹っ切れたらきっともっと不動に心開けるんだと思う。
でも、そこは問題じゃないの。あたしが不動のことをどう思ってるかなんてどうでもいいの。忍がね、不動のこと好きなの。それが問題なの、それが駄目なの。忍は、報われない恋をしてるってことになるんだよ。
あたしは忍が好き。一緒に居ると凄く楽しいし、困ったときは助けてくれるし、気軽に相談に乗ってくれるし。だから、嫌なの。なんで忍は不動が好きなの。なんで。好きにならないでよ、ねえ。
どうすればいいの。あたしはどうすればいいの。このままいずれ忍が不動に拒絶されるまで待てっていうの? あたしは嫌。絶対に嫌。だけど人の気持ちなんて変えれないし、どうすればいいかわからないんだよ。
あたしが不動に嫌われればいい。そうしたら、きっと全部上手くいくはずなの。でもそのためには、どうすればいい。不動を拒絶すればいいの? でもあたしは馬鹿で弱くて愚かだから、そんな勇気なくて。
ねえ源田、あたしはどうすればいいと思う?
目に涙を浮かべながら、笹本はそういった。とめどなく言葉が溢れてくるようで次第に早口になり、声音が震えて酷く感情的になっていく様を、ぼんやりと傍観していることしかできなかった。
多分俺には、的確なアドバイスはできない。勿論こういう時にかけてやる言葉を知らないというのもあるが、一番できないであろう要因を作っているのは——俺も笹本のことが好きだという、そんな壊れかかった事実だけだった。
*NEXT
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いいいいつのまにしのぶが入ってきてるんだとか気にしないでくださいただの趣味でs爆弾だけは!
……なんかどんどんどろどろになっていってるような気しかしないです。
本当にごめんなさい氷橙風様……! 茉莉沙ちゃん使わせていただいているのに……!
多分後二回ぐらいで終わります。ごごごごめんなさいホントごめんなさい。
……のちのち來紗出てきても気にしない方向でお願いします(タヒね