二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- それが愛した結果でした。・その前 /緑玲←ヒロ ( No.339 )
- 日時: 2011/01/24 16:09
- 名前: 宮園 紫奔 ◆ylmP.BhXlQ (ID: WPWjN3c4)
リュウジはいつでも弟のような存在で、それ以上の存在になりうることなんてなかった。何にしても俺のほうがリュウジより勝り、リュウジはそんな俺を尊敬して。そして俺はまるであやすように、リュウジに自らと同様のことを成し遂げれるように助言してやる。その間に俺は、さらに一歩上へ進んで。
それの繰り返しは、俺の上にリュウジが立つことなんてなかったんだ。それは過去も今もこれからも、ずっとないと思っていた。いつまでも微かな優越感と共にリュウジと過ごし、のんびりと穏やかに暮らしていく。彼女も、一緒に。
けれどもそれがただの理想だと、自意識過剰による自惚れた俺の妄想だったのだと、皮肉にもリュウジ自身に気付かされることになった。リュウジはきっと思っていないだろう、俺がずっとリュウジに対して優越感を抱えていたことなんて。
軽々とこなす俺の動作を真似ようとして何度も失敗するリュウジに、内心では嘲りをぶつけていたことなんて。リュウジは何も知らない、ただ純真無垢な様子で俺をずっと見据えていた。そう、今も。リュウジに負けすっかり気の可笑しくなった俺を、リュウジはどんな思いで見据えているのだろう。嗚呼、これが自業自得ってヤツか? 嗚呼、じゃあ仕方ない。結局俺は、ここまでだったんだね。
「好きだったよ、玲名」
本当は、『好きだよ』って言いたかった。それでもわざと過去形にしたのは、もう俺は玲名のことを吹っ切らないといけないからだ。それと同時に、麻酔のように脳髄を侵していく優越感を。
成績も運動能力もサッカーも、何もかもリュウジに勝っている。それは、今もだ。けれど俺はリュウジに負けている。玲名がリュウジを選んだ時点で、どれだけ俺がリュウジに勝っていようとも——俺はもう、敗者のように縮こまるしかできない小動物へとなり下がったのだった。
——(それが愛した結果でした。・その前)