二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【涼宮ハルヒの憂鬱】[*.団員キョンくんの困惑.*] ( No.5 )
- 日時: 2010/07/10 10:35
- 名前: むく。 ◆Y1ybAG.6mU (ID: dD1ACbVH)
* プロローグ -1
それは、SOS団全員と肩を並べて下校していたある日の放課後のことだった。
先頭を行く笑顔のハルヒと朝比奈さん、その一メートルくらい後ろに読書に浸っている長門、最後尾には古泉と俺という完全集団下校スタイルで坂道を下っている時はまだ、これから俺と同じ『ヒラ団員』なる肩書きを持った彼女と出会うなんて思いもしなかったさ。
「今日も涼宮さんはご機嫌ですね。僕としては嬉しいばかりです」
古泉が微笑を浮かべて顔を近づける。それはいつもとなんら変わりない日常なので、俺が気にするなんてこともなかった。
「今はまだいいが、いつあいつの堪忍袋の緒が切れるか分かんねえぞ」
「その通りです。ですが、今現在のような平和で楽しい日々を送れる…それは機関が望むことの一つでもあるんですよ」
古泉はくっくと喉の奥で変な笑い声を立てる。
夏休みを永遠にループしたり、十二月十八日に世界が狂っちまったり、雪山の中で遭難したことはハルヒにとって楽しいと感じられたのだろうか。
まあ少なくともあの時に古泉がいたということはハルヒの感情は安全地帯線上を飛行していたというわけだ。
「あっ、そうそう」
すると突然にスカートの裾を翻したハルヒが人差し指を立てながら振り向いた。
「よく聞きなさい。明日、みくるちゃんの新しい衣装を買いに行くわよ」
自信満々な笑みを誇らしげに振る舞い、朝比奈さんの肩を掴むと自分の前へ突き出して足を止める。俺も含めた他四人も止まる。
「ふぇ、あたしの…衣装、ですかあ?」
朝比奈さんは可愛らしく右手を唇に当てた。
彼女のコスプレ姿が見られるのは大いに嬉しいのだが、メイド服だけでいいんじゃないか?朝比奈さんは着せ替え人形じゃないんだぜ。
「いいじゃない。一足早い衣替えみたいなものよ。材料を買ってきて後は手作りするの」
「衣替えって、まだ早すぎるだろ。今は春…」
「あの…すみません」
だ、と言いかけた時、後ろから美しく透き通った声が耳に届く。聞き覚えのない声だ。
「校門のところに落ちてました。もしかしたら持ち主はあなたかと」
そこにいたのは、とんでもない美少女だった。