二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【イナイレ】透明雲【キリリク受付】 ( No.18 )
日時: 2010/07/12 15:31
名前: 空梨逢 ◆IiYNVS7nas (ID: lFtUuTXy)

04,「風邪って心配されるために引くもんじゃない?」


「……先輩、無理しないで下さいって言いましたよね?」

俺を睨みつける彩華。
正直、切れ長の瞳なのですごく怖い。

「なのに……なんで雨の日にランニングしてるんですか!!」
「それは……習慣だから……」

なんとか言い訳する俺。
本当に習慣だから、行かなくちゃって思ったんだ。

朝。
雨が降っていて、でも習慣のランニングに出かけた。
案の定、今日に限って貧血で倒れた。
それを見つけたのが彩華。

———そして、現在にいたる。

「まったく……。ほら、リンゴ剥きましたから食べて下さい」

はぁ、と一つため息を付き、彩華がリンゴを渡してくれた。
かじるとシャリシャリと軽い音がする。おいしい。

「体温計、っと」

手を洗い、立ち上がる彩華。
辺りを見回して俺の方を見る。

「先輩、体温計ってどこにありますか?」
「えー……。多分無かった」

俺の答えに、彩華はがくりと肩を落とした。

「なんで無いんですか!風邪の時いらないんですか!?」
「……や、この前壊れた」

またもや、しかもさっきより深々とため息をつく彩華。
なんとなく気の毒になってくる。
他人事じゃないけどな。

「まったく……」

そう呟くなり、彩華の手が俺の肩を掴んだ。
ぐいっと顔が近づく。

「!!」

ぴた、と額と額がくっつく。

「熱はありませんね」

そう言って顔を上げた彩華が、ちょっぴり恥ずかしそうに笑った。
俺の顔、きっと今赤いんだろうな……。



   『風邪引いたけど、』
   『君に心配してもらって嬉しかった』


[Fin]