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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【イナイレ】透明雲【キリリク受付】 ( No.91 )
- 日時: 2010/08/16 21:03
- 名前: 空梨逢 ◆IiYNVS7nas (ID: Ya3klDgh)
14,「貴女達が居たから強くなれた *だから伝える、『ありがとう』」
「ちょ、彩華……!彩華ってば!」
悲鳴の様な声が脳内に木霊する。
誰の声だろう。真遊奈?叉衣?
自分は倒れてる。
頬に触れてるアスファルトが熱い。夏って暑苦しい、と妙に冷静に考える。あー、死ぬってこういう事なのかな。死ぬ時ってもっと伝えたい事いっぱい言うもんだと思ってた。なんで何も浮かんで来ないの。
「彩華!だいじょうぶ、今救急車来るから!頑張って!!」
泣き出しそうな声も聞こえる。
こんな時なのに冷静に現状を報告してくれる、この声は奈津に違いない。大好きな友達。
目の前が一瞬だけはっきり見えて、皆の必死の顔が見えた。
口々になんか叫んでる。「彩華頑張って」「もうすぐだから!」ああ、ありがとう。その声を聞けるだけで嬉しいよ。
少し動かした手が、下に落ちる。ビチャン、と音がして紅い液体が舞う。こんなに出血したのなんて初めてだ。そういえば奈津と「血って美味しいよね」って話したっけ。
「だいすき」
「彩華……!しゃべんないで、身体が……!!」
「あのね、だいすき。弱くって、どーしようもない私だったけ、ど」
息が続かない。息を吸い込んだら、ひゅう、と喉が鳴った。血が吹き出す。だれかのあったかい手が頬に触れた。
「彩華、」
「まゆな……、すごいうらやましかった。なんでもできて。でも、自己嫌悪ループから救ってくれたのは、みんなだ、から」
「ありがと。だいすき」
最後に浮かんだみんなの顔は、大好きなみんなの顔。
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