二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【稲妻・ボカロ短編集】翡翠の波紋【リク求む】 ( No.148 )
- 日時: 2010/08/12 21:11
- 名前: 氷橙風 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)
+*その微笑みに、壊れてしまって。*+
俺、ここにいていいんだろうか。
誰も居ない河川敷で、ふとそんなことを思った。いや、ふと、という表現はおかしいだろう。なぜならこの言葉を、何回も自分の胸に問いかけてきたのだから。
必死に、必死に、何回も何回も。考えるだけで苦しかった。辛かった。自分の行いによって、俺のこの苦しみとは比にならないほどの涙を流した人のことを思うと、なんといったらいいのかわからない気持ちになった。——ただ負の感情であることに間違いはなかった。
俺なんかとは全然違う、明るくて綺麗で大きくて、眩しい夕陽を見ると、どんなに自分がちっぽけで、浅はかな存在なのかがよくわかった。痛いほどに。
そういうときに限って、またあの疑問が唐突に浮かび上がってくるのだ。『自分はここに居ていいのだろうか』と。
自分の罪を許してくれたみんなは、いつもと変わらない笑顔で接してくれた。こんな俺にも。
どうしてなんだろう。どうして、どうして。そんな嫌な猜疑心に絞めつけられた俺は、次第に彼らの笑顔を見たくなくなって。『本当は、許されてなどいない。自分は彼らと一緒にいるべき存在じゃない』と、そう思うようになってきた。
でも、そう思っているのに、ここから抜け出す勇気などなかった。自分の——嘘のものだとしても、居場所がここしかないことはわかっていた。独りは嫌だ、そういう感情が、ぼやけている俺の心の中でやけにハッキリしていた。
自分の醜い欲で、結局何もできない自分が、大嫌いになった。
今、消えてしまうことができたら、どんなに楽だろう。
つう、と頬に生温かい液体を感じる。正体なんてわかってる。何度も流し続けた涙。自分の弱さと醜さと惨めさでできている涙。
止めることなんてできなかった。止めようとも思わなかった。こうしてひとしきり泣くのが、毎日のできごとだったから。
でも、もし——
「緑川」
——優しく涙を拭いてくれる人がいるとしたら。
「ひろとッ……!?」
どんなに幸せだろう。
紅い髪がぼやけた視界の端に映る。透き通った緑色の瞳が、俺を見ているのがわかった。穏やかで、優握な、——けれど少し哀しそうなヒロトの微笑みが、ますます視界を曇らせる。
「緑川」
たったそれだけ、俺の名前を呼ぶだけ。それでも、どこか包み込むような、俺の頬をさわるヒロトの白い手が、凄く温かく感じて。何かを抑えて、支えていた鍵が壊れて。
ヒロトにすがりついてしまう俺、やっぱり弱いよな。
でもさ、今日ぐらい、この時間だけは——許して、くれるか?
(今この時間が、)
(自分の存在している理由)
+
鬱りゅうりゅうとヒロトという。
……あれ、いやBLじゃないですよ。あくまで友情です。そうです。イナイレはBLなのではなく、全ては友情物語です。
まあ結局、緑川は本当に脆くて、それを自覚しているけれどその自覚以上に脆い。それでもなんとか強くみせなきゃ、ってみんなの前では涙なんて見せなかったけど、ヒロトの優しさに鍵的なものが壊れて思わず全部さらけだしてしまった、というようなお話ですw
いやいやエロい意味じゃないですからね?
いやーすいませんでした。