二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【稲妻11・ボカロ】毒砂糖【海刀様・空梨逢様リク完成】 ( No.252 )
日時: 2010/08/27 19:39
名前: 氷橙風 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)

+*言葉もその手もあたたかくて*+


 曲がり角を曲がるとようやく有人の後ろ姿が見えた。どうやら円堂君、風丸君と一緒みたいだ。遠くからでも和気あいあいな雰囲気がわかるところに、私が行ってもいいのかしらと迷ったけれど、どうしても今日言いたい。
 え、走っているわけ? それは先生の手伝いをしていて遅れたため。手伝いは嫌いじゃないし先生の為だから、有人と一緒に帰りたかったけど先に帰ってて、と伝えておいた。そしてその直後、言いたいことがあったと思いだし、手伝いを終えた今全速力で走っている。はしたないけれど。

「有人っ!」

 有人の肩に後ろから手をおいた。
 部活の時、遠くから見ているから気がつかないけど、有人の背中は大きいのだな、となんとなく感じる。

「美月。早かったな……走ってきたのか? それにしては息が乱れていないが」
「夜桜は運動得意だからだろ。……さて円堂、俺達は先に行こうか」

 あまり見られない、少し驚いてる表情の有人。そして、え、なんで、という円堂君の言葉を無視してずるずると襟元を掴みひきずっていく風丸君。
 も、もしかして二人きりにしてくれたのかしら。さすがマネージャー並みに気がきく風丸君だわ。

「……どうしたんだ風丸は。えーと、で、いつもは穏やかなのにどうして今日に限ってそんな焦った顔をしているんだ? なにかあるのか?」

 やっぱり察しが早い。まるで私の心の中を覗いているみたい。有人なら本当にそれぐらいできそうな気がする。やられたくないけれど。

「うん……あ、あのね、」

 どうしよう、言えないなあ。こんなに人がいるところで言うべきじゃないかしら。
 いや、まあ何回かしていることだけどそれは全部有人が誘ってくれたものだし……。授業で意見を言うときのように、はっきりと伝えられればいいのになかなか口が開いてくれなかった。ああ、でも無駄に時間を使っているわけにはいかないものね。

「有人、日曜日……その、……」

 せっかく開けたというのに今度は動いてくれない。無表情な有人の顔をなんだか直視できなくて下を向いてしまう。
 すると黙って俯いている私の耳元に——、

「俺は予定、空いてるからな」

 ——突然有人の声が入ってきた。

「えっえっと、」
「俺が言いたいのはそれだけ。何か文句、あるか?」

 どこかいたずらっぽい笑みを浮かべた有人のあたたかい手を、

「あるわけないでしょう」


 ぎゅっ、と握りしめた。




了! ^p^

毎度のごとくすみませんなんかすみません風丸と円堂は気にしないでください友情出演です多分!
まあデートのお誘いですよはい。なんか恥ずかしがっちゃう美月ちゃんをいつものようにきどーさんがひっぱってあげるみたいな感じです。

それではお目汚し失礼しますた。