二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【稲妻11・ボカロ】毒砂糖【空梨逢・春風・烈人様リク完成】 ( No.269 )
- 日時: 2010/08/29 22:42
- 名前: 氷橙風 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)
+*笑顔の君を紅く染めて*+
よく聞きとれなかったけど、彼の口から呻き声のようなものが絞り出すように小さく漏れてすぐにあっけなく消えた。
いつもの白い肌はべったりと鮮紅に染まっていた。綺麗な——今は曇っているけれど——青い瞳の真下に、上から赤い液体がぴちゃり、と音をたてて落ちて、彼の血の気の失せた顔、細い首を伝っていく。まるで赤い涙みたい、なんて手足が時々思い出したかのようにぴくりと震える彼に馬乗りになって、見下ろしながら思った。
「い……ん」
呼吸がしっかりできていないであろう喉から、必死に絞り出して吐き出された彼の言葉。なんて言っていたのかはこれもわからないけれど、私の名前を笑顔で呼んでくれるあの時の彼に似ていた。
——いつからだろう、笑顔で名前を言われることを嬉しく感じていたのが、怒りしか生まれないようになったのは。いつからだろう、幸せだった私達が、歪みはじめてしまったのは。いつからだろう、私の心がこんなにも醜くなってしまったのは。
その後も何も言わない私と違い、しがみつくようにナニカを意味する言葉を吐き続ける彼が、ようやく静かになった。ぴくりぴくりと震えていた彼の手足も、ようやく動きを止めた。狂ったリズムを生みだしていた彼の鼓動も、ようやくおさまった。
私は何もしなかったから、当然部屋は気味が悪いほど静かになった。
「ねえ」
そんな静寂を、無意識に呟かれた私の言葉が打ち破った。
こうしたらどうなるのだろうか、そういうことを一切考えずに手になんとなく握りしめているソレを振り下ろす。瞬く間に視界が真っ赤になった。それでもそんなこと気にせずに、ただただ振り下ろした。特に理由はないけど、今はそうしてみたかった。
どんどんどんどん真っ赤になっていく。全部。全部。真っ赤に真っ赤に、彼はぐちゃぐちゃに。抵抗しないまま壊れていく彼は真っ赤真っ赤。赤い紅いあかいアカイ!
いつのまにか、視界は赤いだけじゃなくてぼんやりとしていた。頬を生温かい液体が伝う。
なんでそうなったのかとか、考えることはしない。全ての思考が面倒くさかった。だけど、一つだけ彼に言ってみたいことがあった。
「あのね」
愛してるとか愛してないとか、そういうのホントどうでもよかった。ただ、嘘ばかりの言葉を笑顔で吐く君が、鬱陶しかっただけ。
それでも私は、君のことを愛していたのかな、って、もう君ではない君を歪んだ視界に映しながらそう思った。
+
ヤンデレですよヤンデレ。最後の文章を書きたかったというその為だけに書いたんですよ^p^
多分ボカロのなかの誰かさん達。わかんなくても全然平気ですがわかってくれたら凄いと思いますぜ。
……最後の文章の一部分、なんかどこかで知ってるような気がぬぐえないのですが、もし誰かのパクってたら本当にゴメンなさい! 悪気はないです。
それではー。
P.S これ、しゅうまつがやってくるの「そんなことホントどうでもよかった」ですね。あーハッキリしてよかったです。ささくれP様有難うございました。