二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【稲妻・ボカロ】翡翠の波紋【気まぐれ短編集】 ( No.31 )
日時: 2010/07/15 19:34
名前: 氷橙風 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)
参照: 明日終業式とかマジですか。

+*ちょっぴり混ざった紅と蒼*+


「ウルビダ〜!」

太陽が嫌味なほど活発に働いている、ある日曜日のこと。

赤髪の少年、ヒロトが大きく手を振りながら木の下のベンチにむかって走っていく。ヒロトの目線の先にいるのは、膝をくんで座っている青い髪の少女、ウルビダである。

「遅い。何分待たせるつもりだ。何か奢れ」
「えぇ!? だって待ち合わせの時間には遅れてないじゃん」
「私を待たせたんだから遅れたことに変わりはない。それにもともとヒロトに奢らせるつもりだったからなんら問題はない」

ツン、とそっぽを向くウルビダ。木陰に居たからか、ヒロトとは違いこの暑い中でも汗はかいていなかった。ただ、横顔が少し赤かった。

「ひどいなあ。……あ、どうしたの? なんか顔赤いよ、暑いから?」
「えっ、……あ、赤くなどない、まあ、そうだな、暑いからだろう。……うん、そうだ」

すました顔が急に慌てふためき、そしてひとりで頷きを繰り返す。いつも冷静なウルビダには珍しい光景だった。

「……? あのさ、何時ぐらいに来てたの? 一応、僕も早めに来たつもりだったからさ」
「そっ、そうだな、お前の来る3分ほど前だ」
「なーんだ、そんな待ってないじゃん」

ヒロトはやだなあ、と笑うと、ウルビダの手をひきほぼ無理矢理立ち上がらせた。ウルビダはビクッとし、慌てて手を引き離す。まるで反射神経、いや、本能のような速さである。

「ちょ、そこまで嫌がらなくても。傷付いちゃうよ僕」
「勝手に傷付け」

零下720度ほどに冷たい彼女の言葉でヒロトは完璧に凍りつき……と思ったら、一瞬で普段の調子に戻る。

「大丈夫、僕はそんな簡単に傷付くようなやつじゃないから。というわけで」

ん、とウルビダの前に手がさしだされる。ヒロトは何も言わずただいつもの微笑み(ウルビダに不人気な)を浮かべているだけだ。
けれどウルビダはヒロトの考えなどお見通しなのか、溜め息をつきながらその手を払いのけた。

「誰がお前と手をつなぐか」

そう言うと、いつものことなので特にショックは受けていなさそうなヒロトを後ろに残し、ウルビダは街路樹が立ち並ぶレンガ造りの歩道を歩きだした。

(30分も待たせた罰だ)

ウルビダが顔を赤くしながらそう思っていたのを、後ろに従順な飼い犬のようについてきていたヒロトは当然知るよしもない。


**


ヒールが高いサンダルだからか、少し不安定に歩くウルビダ。ヒロトはその様子を後ろから見て、心配になったのかウルビダの横に行く。

「大丈夫? 休もうか? 足痛いんならおぶるよ? あ、抱っこの方が良い?」
「平気だ。無駄な心配をするな。それに何があろうとお前に抱かれるなど人生の最大の汚点だ」

ヒロトの声に振り向くウルビダの青い髪が揺れる。その髪と同じぐらい青い瞳は、ヒロトを睨むとすぐにまた前を向いた。

「……それならいいけど。あーあ、それにしてもせっかくデートなんだから手ぐらいつなごう「デートじゃない、たまたま暇だったからお前に付き合っているだけだ」
「え、付き合ってくれるの「違う」

前を向いたまま素早く否定を続けるウルビダ。言いようによっては意気がとれているとでも言えなくもない。
そして、それをデートというんだよ、とヒロトは言いたかったが口に出せば蹴られる気がしたのでやめておくことにした。でも、その代わりに。

「ん〜、じゃあさ、あそこのアイス屋さん! 僕が買うから好きなもの言ってよ」

近くにあったアイスの移動販売車に指を指すヒロト。その表情は純真無垢な笑顔。変態でもやはり本気でウルビダのことが大切なのだろう。

「……なんでもいい」

けれどウルビダの反応は素っ気ないものだった。そんな彼女に内心溜め息をつくヒロト。
なんで上手くいかないのかなあ、と落胆しながらヒロトは車に走っていった。


**


「はい!」

ベンチに座っているウルビダの目の前に大きなアイスクリームが差し出される。赤と青のグラデーションが綺麗なアイスだった。

「……お前の分はないのか」
「え? 一緒に食べようよ」

「…………」

あれ? とヒロトは思った。当然蹴りか拳が飛んでくると自分でも覚悟していたのにウルビダは何も言わずただ下を向いているだけだったからだ。

「何味」
「え、えっとストロベリーとラムネ」
「……じゃあ食べる」

わりかし細い声で、ちら、とヒロトを見ながら聞くウルビダ。彼のとまどったような答えを聞くと、アイスを奪い取る。

「私が残した分をヒロトにくれてやる」
「え……あの、冗談だよね?」

握手すら許してもらえなかったのに……間接キスだと彼女はわかっているのか、とヒロトは疑問に感じる。それほどその答えが信じられないのもどうかと思うが。
そしてヒロトが脳内で緊急会議を開いている間にウルビダはアイスを食べ始める。

「わりとおいしいな」
「うん……ウルビダ、なんか変なもの食べた?」
「はあ?」

ウルビダは頭でもぶつけてこうなったのだろう、だって彼女はこんなに優しくはない。というのがヒロトの脳内会議の議論の結果であり、その結果にうんうんとヒロトは頷く。
だがウルビダは。

「——たまには良いと思った、ただそれだけなんだからな。勘違いするなよヒロト」

すっ、と左手をだすウルビダ。顔がほのかに赤いから恥ずかしいのだろう。もしかしたら恥ずかしさで目眩がしているのかもしれないが、表面はいたって平坦だ。

「……じゃあ悪いけど僕、勘違いさせてもらうよ」

ヒロトはいつになく真面目な声でそう言うと、彼女のひんやりした手をギュッと握った。


(冷たいでしょ、だから僕が温めるよ)
(……あくまで今日だけだ)




俺逝ってくるね^^b

キャラ崩壊が激しい。ヒロトって僕だったか一人称。もう俺の妄想がヤベえ。
いやツンデレを書きたかった。ただそれだけなんです。すいませんでした本当に。
でも少しでも2828した方がいれば幸いです。

次は何だろね。シリアス的なのやるか。