二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【稲妻11・ボカロ】毒砂糖【カエル様・海刀様リク完成】 ( No.320 )
日時: 2010/09/06 18:58
名前: 氷橙風 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)

+*純白郵便屋*+


 寒い。……くないもん。平気平気、これぐらい。
 
 スカートと同じ、赤と茶色のチェック柄のマフラーに顔をうずめる。
 みんなは練習で体を動かしてるから大丈夫みたいだけど、マネージャーの私は見てるだけ……やっぱり、北海道の冬の寒さは厳しいよお。
 思わず校舎の中に入りたいという衝動に駆られるけど、マフラーをぎゅっと握ってその考えと寒さを振り払う。
 ダメダメ、私は、園雪沙良は、白恋サッカー部のマネージャーなんだもん! ちゃんとみんなの手助けしなくちゃいけないんだもん!
 そう自分に言い聞かせて、「そろそろ休憩しよー」とみんなに声をかけようとしたその時——

「やっぱり頑張ってるみたいだね」

 耳に入ってきた、大好きなあの声——……。


「し……ろう、君っ!?」

 私の大声にみんな振り向いて。それぞれ瞳に、驚愕の色がうかんだ。


**


 士郎君。吹雪士郎君。私が大好きで大好きで、でも遠くへ行ってしまった士郎君が、目の前にいるということが信じられなくて。そして、涙がでそうなほど嬉しくて。
 
 イナズマキャラバン。宇宙人を倒すために士郎君はそこへ入って、円堂君達についていった。
 士郎君なら宇宙人なんて軽くやっつけられると思っていたし、そうやって活躍してくれることが嬉しかった。だけど、やっぱり士郎君が傍に居てくれないのが凄く悲しくて寂しくて。毎日続く雪景色は、ぽっかりと穴が空いたようだった。
 宇宙人——ううん、強化人間達を倒したという知らせを受けて、皆で喜びあった。やっぱり士郎君は凄いって思った。

 ——そして、今帰ってきてくれた。役目を果たした士郎君は、帰ってきてくれた。
 また大好きな士郎君と一緒にいられると思うと、言葉にできないような嬉しさが溢れかえる。ああ、神様に毎日お祈りしたかいがあったなあ。




「歓迎パーティ、しなくちゃな」

 いつもよりもっと綺麗な笑顔で皆を見回す烈斗君。やっぱり皆嬉しそう、とぼんやり思いながら頷く。

「でもどこでやる? 誰かの家でやる?」

 珠香ちゃんが首を少し傾げた。そうだよね、学校は使えるかどうか……
 私の家でできたらなあ。士郎君にはまだ来てもらったことないし。そんなことを考えたけど、ダメに決まってるよね、とふくらんでしまわないうちに振り払った。

「あ、じゃあ沙良ちゃんの家はどうかなあ」
「えっ……えぇっ!?」

 すると紺子ちゃんが鈴みたいな小さい声で何かを言って。
 あれ、どういう意味だろうって頭が解釈して、
 爆発した。

「そっそんな……私の家狭いしダメだよっ」

 必死で否定する。
 嬉しいけど、ホントはそれでいいけどでもそんなの私の欲でしかないんだもん。ダメダメダメに決まってる。

「だけど皆の家の中心にあるし、これやすいんじゃないかな」
「りゅ、流君まで……ま、まあそれなら別にいいんだけど……」

 そ、……そうだよね、きっと紺子ちゃんもそういう意味で言ったんだよね。だったらいっか。
 どこかガッカリした気持ちもあったのは否めないけど、ガッカリしてる暇なんてないんだからって、自分を慰めつつ叱りつける。

「……それに、そっちのほうが上手くいきやすいよねえ」

 珠香ちゃんがいたずらっぽく笑ってたけど、どういう意味だろう。


追記:コピったら変なことに。見直ししてなくてゴメンなさい!