二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 点滅パラノイア 2 ( No.390 )
- 日時: 2010/09/21 16:59
- 名前: 氷橙風 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)
- 参照: 点滅パラノイア続き。
でも信じるしかなかった。認めるしかなかった。誰よりも綺麗な青色が姉ちゃん以外のものであるわけがないから。姉ちゃんにいくら言葉をかけても返してくれないのは、事実だから。姉ちゃんの心臓から、音がなんにも聞こえてこないのは、事実だから。
だけど信じたくない。認めたくない、誰が認めるもんか。そういう風に反発しても、無駄だ。あっというまにどうしようもない絶望感に覆いかぶされてしまう。
自殺、なのか?
だんだんと、嫌気がさすほど冷静になってきた俺の頭は、ぼんやりとそんなことを思った。
傍にはナイフが落ちている。蛍光灯の光を反射する銀色の刃は、ほぼ全てが真っ赤に染まっている。いや、自殺だったら、……。ミステリーには詳しくない。
でももし自殺じゃないのなら、考えたくないけど誰かが姉ちゃんを殺したのなら、許せない。
——なんて台詞を言えるわけがなかった。許さないのは本当だけど、だからといって何になるわけでもない。例えその人物に復讐できたって姉ちゃんは生き返らないんだから。無駄、無駄、無駄。
勝手に身体が動いて、よろよろと立ち上がる。だいぶ俺の脚はふらついている。頭は冷静だけど、身体は限界を超えているのかもしれない。視界もかなりぼんやりとしているし、俺の目は今虚ろだろう。
そんな視界に——何か、が映った。
ついさっきまで、いや今も鮮明に焼きついている血の色。赤。毒々しい薔薇の華みたいな、赤。この何分かで大嫌いになった赤。
ただ、血ではない。あの赤は血ではない、なぜか断言できる。どこかで、どこかで見た。違う、いつも見ている? あれは、あれは——
「ひ、ろと」
自分の口から何かを意味する言葉が洩れた。何かを、意味する。その〝何か〟なんて本当はわかってる。
「ねえちゃんが、さ、」
だんだんとこっちに近付いてくる人影。
わかってる、けどこれだけは信じたくないから。信じたら自分の頭が壊れそうだから。だから頼む、否定してくれ。俺の考えを否定してくれ。否定してくれ、ヒロト!
「……ねえ、この紅綺麗だと思わない? 緑川」
否定、……その文字が、笑みを浮かべたヒロトについている真っ赤なソレを認識したとたん粉々に砕け散った。
静かだ。この部屋に入る直前の時のように。
誰も何も喋らない。動かない。窓は閉めてあるから風の音も入ってこない。時間までもが止まってしまったかのような静かな空間。まだ微かに残っていた淡すぎる希望は、静けさに押し潰されてしまった。
「悪いね」
すると無垢な子供のような声が静寂を打ち破る。誰の声、なんて一瞬思って、すぐに誰の声でもなく〝無邪気な死神〟の声だと思いなおした。
からん、と、〝ナニカ〟と床がぶつかってできた乾いた音が響く。〝ソレ〟を白い手に軽く握った〝彼〟は、にこっと笑った。
視界が黒白に歪んでぐるぐると暗い海の底に沈んでいく。
そんな感覚が襲う前に意識に残っていたのは、呟かれた誰かの言葉だった。
「まあ、もともと死んでもらうつもりだったけど」
+
解説ー。
玲名姉さま、つまりウルビダ姉さまはリュウジのことが好き。リュウジは姉のように慕っていて、自分が女としてウルビダを好きだということには無自覚。
ある日玲名は告白しようとして呼ぶ。でもその手紙をヒロトに見られる。玲名を好きというか独占したいヒロトはまあ病み病みな思考に走って殺害。それをリュウジに見られる。
でまあ当然のごとく証人生かすべからずみたいな感じで殺害。……とリュウジは死ぬ直前まで思ってたけど、もとからヒロトはリュウジを殺そうとしてましたとさ。
ヒロトウルビダ緑川好きな人ゴメンなさい。いや私も好きですが。
そしてパンドラ様マジでゴメンなさい。ヒロトがヤンデレてて緑川がー……ということになりました。リクとだいぶ違う気がしますがそんなの海の広さn(殴
リク、有難う御座いました。