二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 未知の硝子玉 ( No.395 )
日時: 2010/09/19 22:18
名前: 氷橙風 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)
参照: うー。

+*未知の硝子玉*+


「ばぁか」

 そんないたずらっ子みたいな声が聞こえたかと思うと、額にコンッという硬い音と共に一瞬の熱さが走った。
 何が起きた、と俺の脳が分析するうちに、だんだんじりじりした痛みが強くなる。油断させておいて後で痛ませるなんてなんとも卑怯な痛みだ。
 じゃなくて。

「な、何すんだよリンっ!」

 肩までの金髪を指で弄びながら、ぱっちりした明るい青色の瞳でにやっと笑う。
 ……分析の結果。この目の前にいるリンが、軽く罵りながら俺の額にデコピンした、ということのようだ。相変わらず些細なことで人をムカつかせるのが得意な女だこの野郎。

「いきなり馬鹿って何だよ、馬鹿って」
「レンはお馬鹿さんだもーん、……色々と」

 あははと笑いながら俺の前の席の椅子を勝手に動かし、勝手に座る。同じほどの背丈であるため、丁度正面にリンの顔がくる。
 彼女が動くたびに、彼女の頭についている真っ白なリボンが揺れる。うさぎの耳みたいだ。……リンにうさ耳つけたらどうなるだろうか。可愛いだろうか。いやその前につけた人が殺される……
 なんて無意味な妄想はやめといて。あー、こんな妄想するとかリンのいうとおり俺馬鹿なのかも。くそ、なんか悔しい。

「レン、今変なこと考えてるでしょ」
「うっ」

 図星である。なんでわかるんだこいつ。まあ前から勘は良かったけど。

「ふふん、あたしは何だって見抜けるんだから」

 リンの十八番である、〝人を見下しているようでいてどことなく愛嬌があるにやっとした笑み〟をまたもや使われた。可愛いとは感じるのだが少々ムカつく。
 そんなムカつきをこいつの幼馴染である俺はずーっと味わってきてるわけで……。いつか負かしてやりたいのだが残念ながらこの俺のささやかな望みは叶ったことはない。神め、ひどすぎるぞ。信じてないが。

「ねえ、でも知ってた? このスーパー天才リン様でも、わからないこと一つだけあるんだよね」

 わざとらしく溜息をついて人差し指をたてるリンに、自尊心がすぎてるぞー、と突っ込みたいが前からのことなので仕方がない。それよりも、その〝わからないこと〟というのを聞こうじゃないか。

「……ふうん、知りたいんだ」

 もったいつけないで早く言えよ、という言葉が、喉から出損なった。

 なぜなら、リンの青い瞳が少しだけ——哀しそうだったからだ。明るい声とは違い。
 だがそれは俺が瞬きをする間だけのことだった。いや、きっと、ではなく絶対俺の見間違いだったのだろう。

「ばーぁか、誰が教えてやるか」

 ……またもや、デコピン。


(綺麗で透明で、繊細な秘密。)




可愛いリンレンを書こうかと……。
二人は兄弟じゃなくて幼馴染です。はい。
デコピンの痛みを知るため自分にやりまくったら、かなり痛かったです。やるなデコピン。