二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 紅花様リク ( No.418 )
- 日時: 2010/09/25 16:58
- 名前: 氷橙風 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)
+*報われないとある少年*+
「みなさーん、休憩にしましょーっ!」
音無の明るい声がグラウンドいっぱいに広がった。
相変わらず元気だ。……少々元気すぎるが……いや、そんなところも音無の魅力だ。なんてったって俺が惚れこんだのはあの迷惑なほど眩しい笑顔なのだから。
うう、どうしよう。言えるだろうか、俺。「今日一緒に帰らないか」それだけの台詞なのだが言えるだろうか。いや、言わなければいけないんだ今日こそは! いけ、切先刃!
「え、えと、音無」
「あ、刃君。どうしたんですか?」
にこ、と可愛らしく笑って振り向く。揺れる青い髪に見とれてしまうが今はそんな余裕はない。
なぜなら、俺がこの台詞を言えるかどうかということに加え、音無の兄——鬼道さんが見張っている可能性が非常に高いからだ。こんなこというのはどうかと思うが鬼道さんはシスコン……ではなくかなり音無のことを大事に思っている。音無に近づいた男は皆何かしらの怪我を負ったという噂もあるのだ。つまり、俺が音無に話しかけるだけでも鬼道さんの蹴りが飛んでくるのではないかと思うと冷静になっていられない。
そういうわけで俺はなかなか次の言葉をだすことができなかった。笑みを絶やさない音無が待っているのに、くそ、何をしているんだ俺は。
「……あのさ、その……今日、いい一緒に帰らないかっ?」
あーっ、言ってしまった。安心するとともに断られたらどうしようと不安がこみあげてくる。あのきらきらした笑顔で無邪気に断られたら立ち直れる気がしない。
何言ってんだこいつ、みたいなこと思ってないだろうか。おそるおそる音無の顔を見てみると、俺の予想ははずれていた。
「いいですよ、家同じ方向ですよね確か」
なんてことはない、数秒前と同じ笑顔。……でも、なぜか俺の目にはその笑顔が数倍綺麗な天使のように感じられた。
**
音無と二人きり。
その夢のような事実はとてつもなく嬉しいものなのだがかなり重い。重すぎる、未熟者の俺には。
だって、何を話せばいいのかさっぱりわからん! 音無……というか女子の好む話題とかさっぱりだし、こうやって近くにいるだけで緊張して何も言えないし……やっぱり俺なんかとは釣り合わないよなあ、そんな哀しいことを再度悟る為に誘ったわけではないのに。
「……あの、刃君? 大丈夫、ですか?」
はっとして顔を上げると、心配そうな碧色の瞳でこっちを見つめる音無が。
お、音無に心配されるとかヤバい、くらくらしてきた。ぐっ、だがこんなところでくたばるわけにもいかない……なんとか頑張らなくては。
と、決意を固めたその時。
塀と塀の隙間から何かが現れたかと思うとずるっと吸い込まれた感覚に襲われ、瞬きをしおわると隣にいたのは、
「……き、どーさん」
無表情ながらもゴーグルを挟んで矢のように降り注ぐ怒気。ちょ、怖い。真面目に怖い。というかなぜ鬼道さんが、そして音無は?
鬼道さんの視線に耐えながら精一杯考える。そしてわかった。どうやら俺は路地裏のようなところに拉致られたようだ。無論鬼道さんに。
「切先、まさかお前までとはな」
冷徹な声が響き、ぞくっと背筋が寒くなる。そこらへんのホラーとは桁違いの恐怖。ちょっと待てこのままじゃ俺死ぬ気が……
「あぎゃあああああああああ」
刃の恋は前途多難。
+
ゴメンなさいゴメンなさい切先君の扱いひどすぎるゴメンなさい鬼道さんもおかしくなってるしゴメンなさいほのぼのじゃないしゴm(ry
ひどいです。色々と。可哀想です切先君。自分で書いときながら。それしか言えないですもう。
それではっお待たせして申し訳御座いませんでした!