二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【稲妻・ボカロ】翡翠の波紋【気まぐれ短編集】 ( No.52 )
日時: 2010/07/18 13:05
名前: 氷橙風 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)

+*罰ゲームの力は絶対*+


「えーと……DFの人もしくはやったことある人!」
「わああああああ」

ヒロトの言葉を一字一句も聞き漏らさないという勢いで耳に全身全霊をかけていた円堂達は、ヒロトがのんびりとした口調でその言葉を言い終えた時、気が抜けたように椅子に座りなおす者と空いている場所に向かって猛ダッシュする者の二つに分かれた。
そして数秒間の激しい騒ぎが収まったあと、魂が抜けているかのように落ち込んでいたのは風丸である。

フルーツバスケット、そのただの遊びで、彼は記憶から抹消したいほどの恥を一日かかされるのであった。


**


数十分前のことだ。
暇そうな円堂に、ヒロトが『みんなでフルーツバスケットやろうよ』と、爽やかな笑みを浮かべ、円堂はそれに賛成して(のせられて)全員が集合された。

ヒロトは『3回やったら罰ゲームで、どんなものにするかは僕が気分で決めるよ』と、比較的さっきよりも若干黒い笑みをつくって皆の顔を見まわし。
あの変態のことだしまともなものではないはずだ、絶対になるものか、と皆は決意を固め、戦争に挑んでいった。

そしてそのまともではないだろうと思われる罰ゲームを受けることになったのはなんと風丸である。


**


「どうしたんだよ、風丸は足速いのに。こういうの苦手なのか?」
「ああ……。で、俺なにやらされるんだよ。女装とか絶対嫌だかr「ピンポーン!わかってるね」

「え」

半分諦めかけて床から立ち上がろうとしない風丸に、頭上からさらに風丸を絶望の淵に突き落とす悪魔の声がかかる。固まった彼の上にあった顔は当然ヒロトのものだった。

「大丈夫、心配しないで。準備は万端だから」
「面白そうやん、ウチが全力で協力したるで」

にこり、と笑うヒロトとリカ。風丸は本当に魂がぬけたようだ。固まったまま、強制的に二人に腕を掴まれてどこかへ運び込まれていった。

「平気かな風丸」
「おそらく平気ではないだろう」

何もわかっていなさそうな呑気な円堂に、鬼道はさらりと返答。

(チッ、ホントは守にやらせるつもりだったのに。まあいいや面白いし)

とヒロトが内心舌打ちしていたのははたして重要な問題なのだろうか。


**


「ふー……やっと終わったで。そんな暴れなくてもええのになあ」

額の汗をぬぐいながら登場したリカ。がつかむのは毛布にくるまった風丸だった。
泣き声がかすかに毛布の中から聞こえてくる。風丸にとっては本当に泣いてしまうほど悲しい地獄なのだろう。はたから見ればただのギャグだが。

しかし、さっきまでのリカの怒声と風丸のあわれな叫びを1時間ほど聞いていた円堂達は、少し期待もあったが同情の気持ちが強かった。

「ほら、いつまでその中にいるんだい。早くみんなに見せてあげなよ」
「だ、だって……こんな姿絶対に見られたく……」
「罰ゲームなんだから仕方ないやろ。男ならしっかりせえや! いつものアンタらしくないで!」

ヒロトの言葉にぐずる風丸をリカは母親のように叱りつける。実にアホらしい光景だが何回も言うように風丸にとっては悲劇なのだ。

「……男……そうだよ俺は男なんだよ! 女じゃない!」
「じゃあでてこい!」
「そうだそうだー」
「嫌だ」

リカはいくら言っても毛布からでてこようとしない風丸にイラついたのか、次第に青筋がたっていき。そして。

強制的にはぎとった。

「!! ちょっ、なにする……「可愛いー!」は?」

慌てて毛布を取り返そうと風丸に、きゃー! と可愛いモデルを見たような秋と春奈の反応。リカとヒロトはたちまち得意満面の表情になる。まるで自分が褒められたかのようだ。

「すごい似合ってますよ風丸君。ホントに女の子みたいです」
「ちょ、それは失礼じゃないの冬花ちゃん」
「ほら、風丸君落ちこんでますよっ」

本当のこと言って何が悪いんですか、という顔をする冬花を小声でおさえる秋達。だが彼女らも充分失礼なことを言ったのではないだろうか。

「まあ当然やね。ウチの力にかかればこんなもん」

へへん、と笑うリカをどうでもいいというふうに押しのけて座り込んでいる風丸の近くに円堂達が群がる。
女子の制服を着て、メイクもして普段よりますます女っぽい顔つき。パッドも入れたのだろうか、一応胸も女子並み。そんな恰好をしている風丸は、皆の視線に耐えきれず顔を真っ赤にして俯いた。

「な、なあ、これいつまでやるんだよ……」
「え、今日一日ずっとだよ」
「……あ、っそ……」

ヒロトの答えに、もう反対するほどの元気がないのか、風丸は溜息をついただけだった。


ここに宮坂がいたらどうなっていたか、それを知るすべは永遠にない。




ちょっと疲れた。もうこれで終わりってことで☆((
てか俺どんだけキモいんだよ。何してんだ俺。
もうホントにすいませんでしたぁぁぁああ