二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- 単純に、手放す。 *紫奔様との共同お題! ( No.565 )
- 日時: 2010/11/07 13:32
- 名前: 氷橙風 ◆GAr7JFdtZA (ID: yjS9W/Zh)
+*単純に、手放す。*+
それは無理だ、
と、そう一言口にしたら。彼は俯くことも忘れて、もうすでにくしゃくしゃだった顔をさらに歪めさせて、でも何も言わなかった。光を失った紅い瞳は、その濁ったものとは正反対の透明な液体を溢れさせ、どこかを見てどこも見ずに、時折微かな嗚咽を震える口から漏らすだけだった。
力が欲しい、
と、さっき彼はそう言った。
自ら自分の弱さを認め、ずっと一緒にいたであろうと思われる仲間達と決別し、お父様に拾われて。どうするのか、どうしたいのか、答えを出せずにただただ与えられた部屋の隅でずっと馬鹿みたいに泣く。大切な仲間と別れるほどの強い意志があるのなら、それぐらいどうしてできないのだろう、と彼——風丸を見てそう思った。
確かに弱い奴だ。「自分は駄目だ」と思いこむ強さならあるけれど、身体面のことは別としたって何もかも弱い。そんな奴が、私達のようなエイリア学園に入れるだなんて思えないし、正直入って欲しくもなかった。「仲間」とか「信頼」、そんな言葉はないけれど、言葉の通り命を削るような練習をずっと一緒にしてきたチームの彼らと風丸を、同じメンバーとは思いたくない。
そんな風に、私は風丸に対して嫌悪感を抱いていた。でも、なぜか妙に気になって。時間が余った時、また今日も泣いていた風丸に、「お前はどうしたいのか」と聞いてみた。
すると風丸は、誰が話しかけてもまともな反応をしなかったくせに、私の声だけは聞こえたのか——いや、この言葉だけは届いたのか——急に顔をあげて。虚ろな目で、悲しさとも怒りともなんともいえない、負の感情がぐちゃぐちゃに混ざり合った表情で私をぼんやりと見て、何かに操られたかのようにふらり、と立ち上がった。
そして一言、掠れた声で呟いた。本当に小さな声なのに、目は虚ろなのに、なぜかその言葉には芯があったように感じた。それが何の感情からきているのかはわからないけれど、その言葉が彼の全てを表していると言っても過言ではないほどの。
「力が欲しい」
もう一回それを繰り返した。今度は、芯も何もないぼやけた言葉だった。
まあ、そう言われたからには私は何か返事をしなければいけない。適当な返事をする気分ではないので、彼の言葉の意味と心情をできるだけ理解し、私が言うべきものに最も相応しい言葉を探す。そう時間はかからなかった。前々から思っていたことだったから。
まだ目の端に涙を溜まらせている風丸の目をじっと見て、彼の深くまで届くようにしっかりと口を動かす。
「それは無理だ」
お前はいつまでたっても弱いままだ、
見てくれの力が手に入っても本当の力などお前には永遠に来ない。
不規則に出す嗚咽が返事の代わりのようで、つまり意味のある返事は来ないのだから、一方的だけれど私の思っていることを次々と投げかけてみた。きちんと彼に届いているのかわからないけれど、無性に苛々が募っていたからそうしてしまいたかった。全てぶちまけたかった。
「だって、」
私が風丸に嫌悪を抱く理由を伝えたかった。私がどうしてこんなにも風丸を嫌っているのか、教えてやりたかった。
「私が嫌ってしまうほど“ ”お前が、強くなれるわけないんだから」
ぴく、と微かに動いた華奢な体は、そのまま意思のない人形のように、簡単に床へと崩れ落ちた。
ずっと前に、ただ何も考えずに手放した“ ”を、もう一回ここで手放す。私にはただそれだけの行為だけれど、彼にはそんなに響くものなのだろうか。
まあ、“ ”を持つ風丸なら当然か。
思わず頼ってしまいたくなるから、求めてしまうから、大嫌いな“ ”を溢れるばかりに持っている風丸なら。
たったそれだけの理由、
( ヤサシサを手放した )
+
色々と設定を変えてますよね^p^ すいません^p^
玲名お姉さまはですね、エイリア計画が始まる時に優しさとか感情を捨てたんです。手放したんです。それで、優しさを持つ風丸を受け入れずに、また手放したんです。「優しいお前が強くなれるわけない」って。本当は求めてたんです。だけど、だからこそ? 大嫌いなんです。
というお話でした´・ω・`
もう全体的に土下座ですねw 紫奔様、共同でお題にチャレンジしよーだなんてもう私不安で一杯でしたよwそれにただでさえ私のクソお題を使ってるんですからもうやばいですよw
えーっと、有難う御座いました!
あと……トリップ、うまくできてるかな……?
できてなかったら元に戻すんで気にしないでください^^
P.S ちょっと最後の方を修正。