二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 深愛 ( No.612 )
日時: 2010/12/13 18:43
名前: 氷橙風 ◆inazumaCHw (ID: yjS9W/Zh)

 汚れ一つない、磨かれた鏡台に美しい金色が映った。
 ふわり、と緩やかにカールした金髪を揺らし、少女は足をターンさせ軽くまわる。広がる青いスカートやバランスの良い体と同時に動く白い手。その先にある指は、しなやかに、何かを弄ぶように不思議な動きをつくった。
 蒼翠色の瞳をどこか楽しげに細め、嫋娜な指先を自分に向かって引く。すると、彼女——アリスと同じ金髪の、小さい少女の人形達が次々と現れた。人形達を操る指に細い糸が繋がっているのが微かに見える。
 アリスはもう片方の手に抱えていた分厚い本をテーブルにそっと置き、木の椅子に腰を下ろした。そしてすぐに、自分の周りに集まってきた人形のうち一つを手にとり愛おしげに撫でていく。心なしか喜んでいるような表情の人形に向ける視線は、慈愛というよりも感謝が強めのものだった。
 
「いつも御苦労さま」

 誰もいない館の中で、丁寧にだされたその言葉が静寂を打ち破る。ふう、と安心のような意味が込められた溜息を吐きだし、アリスは首を動かして時計を見上げた。

「……三時、か。そろそろあいつが来るかしらね」

 そう呟くと、人形をもう一撫でして立ち上がった。やれやれ、という表情ではあったが、部屋の中を動き回る彼女の足取りはさっきと同じように楽しげだ。
 
 木々に包まれた白い洋館に、箒に乗った少女が到着するのはその数分後——。


( まっさらで静かな、 )



すいませんまた東方ですwつーか東方の書きたいもんたくさんあるんでしばらく東方になるかも……
こういう短めのものをやっていきたいと思います。
はい、まあアリスですよ!アリス。当然「あいつ」は……はい。
最近三人称使ってないんで難しい……くう、うまくいかないな。