二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

 困狐 ( No.648 )
日時: 2010/12/22 21:50
名前: 氷橙風 ◆inazumaCHw (ID: yjS9W/Zh)

 広い屋敷の、広い庭。

「にゃーみゃーみゅー」

 情緒溢れる庭園の中にある一つの岩の上で、一匹のネコ——三毛猫が、ごろごろと喉を鳴らしながら日向ぼっこをしている。その岩のすぐ傍で、一人の少女が膝を屈めて何かを喋っていた。

「にゃう。にゃうにゃ……うみゃ?」
「……橙、貴女、ほんとにネコ語が御達者ね」

 すると、その庭の縁側に腰かけている少女——年齢は千を越えているが——が、少しの呆れを交えながら橙に話しかける。手の甲を頬に当てて顔を少し傾け、腰まで流れ落ちる金髪がさらりと揺れた。

「だって私化け猫ですもん、紫さま」

 対して橙は、にこっと天真爛漫な子供らしい笑顔で返す。肩までの髪は明るい茶色で、その髪を包む緑色の帽子。そして帽子の隙間からぴょこんと飛び出る黒い大きな耳。それはネコの耳だと一目でわかるもので、また彼女には耳と同じ黒い尻尾がついている。橙の先ほどの台詞通り、その尻尾は二本に分かれて——つまり、猫又だった。

「ま、そうよね。……ってことは、藍も狐語を喋るのかしら? そもそも狐の鳴き声ってほんとにこんこんなの……?」
「あ、そういえば藍さま遅いですねえ。何してるんでしょう」

 若干どうでもいいようなことを考え始めた紫の声を遮るように(別に悪気はないのだが)、橙がそう言った。
 体を紫の方に向け直しても、手は三毛猫のお腹を撫でているままだ。

「ああ……そうね。あの巫女に伝言してきてくれって頼んだだけなんだけどね……ほんと、何してんのかしら」
「ですねえ。藍さまいないと寂しいです」

 橙はそう可愛らしく返し、紫は「困ったわ、洗濯物があるのに」と溜息を吐く。それに橙がのほほんとした返事をする、とほのぼのした時間を過ごしている二人。
 ……が、なぜ紫の式神であり橙の使い手の藍がなかなか帰ってこないのか? それは——



「伝言できるぐらいの簡単な話ならあいつが来ればいいじゃない、また神出鬼没のあのスキマ使ってさ」
「え、そ、そんなことは」
「ここで休んでいきなさいよ。その分じゃあいつに雑用ばっかせられてんでしょ」
「でもでも、紫様は大妖怪様ですし……」
「いーわよ、式神に宴会の話させにくるバカなんだから」

 ——霊夢に、そんなことを言われていたからであった。


( 主人にこんこん、 )



紫様がなんかアレとか言わない。ちぇんはもう天然でいけ。藍しゃまは一応紫様を尊敬してることに。霊夢は気にしちゃダメ。
……えとまあ、「こんこ」なんで「こんこん」とかけてるっつーか最後のこんこんは「困困」であって……
なんだこのセンスおやじか^p^