二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【稲妻・ボカロ】翡翠の波紋【気まぐれ短編集】 ( No.91 )
日時: 2010/08/01 21:19
名前: 氷橙風 ◆aeqBHN6isk (ID: yjS9W/Zh)

+*彼の飢えは満たされない*+


なぜ? 彼女は私だけを愛していればいいのに。

「ヒート!」

なんで君はアイツの名前ばかり。どうして。どうして。ガゼル様って、何で言ってくれない。
君のその口は、私と話すためだけにあるのだと、どうしてわからない?

「クララ……」
「あ、ガゼル様、ゴメンなさい今ちょっと忙しくて……」
「……そうか」

だいたいヒートは敵だというのに。どうしてどうしてどうして。私のなにがいけない。君は私のために生まれて、私は君のために生まれたんだぞ? 今生きているのは、私と一緒にいるためだろう?
私の呼びかけに応えないというのならば、君は生きている意味などないのだ。


**


「くあッ……」

クララを壁に押し付ける。私の手は彼女の首元。
苦しそうな彼女を見て、私は質問をしてみた。

「苦しいか? 痛いのか? なぜだ? 私の苦しみはそんなものではない。君がアイツと話しているところを見るのがどんなに辛かったと思う?」
「……ど、ういう、ことです、か、ガゼル様……」

息ができないのかクララは途切れ途切れに言葉を言いながら、私をじっと見る。
どうして。どうして、アイツの時のように笑顔でいてくれない。なんでそんな顔をする。

「ねえ、ガゼル様、……! 謝りますから、お願い、ですから、その手を、離していただけ……うあっ」
「どうしたら君は笑顔になってくれる? どうしたら君は笑ってくれる? どうしたら君は私のことを見てくれる? もっと、もっとこうすればいいのか?」

手の力を強くする。彼女はますます苦しげになる。
どうして? なにが間違っている。私は彼女を愛しているのに。なにもしていないアイツとは違う。こんなにも彼女を愛しているというのに。
一番君を愛しているのは私で、一番私を愛しているのは君だろう?

「が、ぜ、る……サマ……」

考え事をしているうちに、段々クララのあの桃色の頬が青くなっていく。なぜ? なぜ?

「ア……」

そう一言絞り出すように彼女は言うと、いくら待っても次の言葉を言ってくれなくなった。あの笑顔を、私に見せてくれなかった。

「クララ、どうしてそこで固まっている」

手を離しても、彼女は床に落ちたまま動こうとはしない。
なぜだろう。なぜなのだろう。

「クララ……!」
「!」

その時、ドアからアイツ——ヒートが入ってきた。
そうだ、コイツのせいだ、クララが動かないのは、クララが私に笑顔を向けてくれないのはコイツのせいだ。

「クララ、クララッ……」

必死に彼女の傍でその名前を呟きつづけるヒート。
お前が彼女の名を呼ぶな。呼んでいいのは私だけ。彼女と一緒にいていいのは私だけ。全部、全部コイツのせいだ。

「お前の、せいだ」
「なっ……?!」

気分が悪くなり、私は部屋をでることにした。
去り際、ヒートにちょっと言ってみたら、ずいぶんと怖い顔をして。本当のことを言っただけだというのに。


私を愛さないのならば、君に存在価値などない。

(君が勝手に壊れた、)
(ただそれだけだろう)




あれなんだこれ。
ゴメンなさいゴメンなさいがぜるんがヤンデレに! しかもよくわかんないヤンデレに!
クララちゃんヒートきゅんゴメンねぇぇぇえ

あー次どうしましょっかー