二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【銀魂】空は只、青く。 ( No.15 )
- 日時: 2010/07/27 16:43
- 名前: 瓦龍、 ◆vBOFA0jTOg (ID: KUO6N0SI)
僕は誰かと手を取り合って。
また離して、また繋いで、
自分を守るモノは結局自分でしかない。
そう思ったから、手を離したんだ。
明るい孤独な旋律を、
一人で刻む事を、恐れないで。
自分を守るものは結局自分でしかないのだから。
僕は結局、一人の侭。
月の光を玩びながら、
静かに瞳を閉じる————
▼sky03、雨森巡り
見上げれば低く広がった鼠色の雲。
無数の糸を描くかのように振る雨は、しとしとと静かな音を奏でていた。
木々や花々の肌を鮮やかに濡らす雨粒も今日は何だか憎たらしい。
「折角の非番なのにな」
「ついてないですね」
と。僕等は行き場の無い思いを込め、溜め息を一つ転がした。
天気予報では今日は一日、雨。
普段なら雨でも然程気にしないが其れが休日となったら別だ。
「散歩にでも行きましょうか??」
と。奏羽が億劫そうに呟いた。
こうして只部屋で一日ぼぉーっとしているのでは時間が勿体無い、と。
そう思った僕は何時もより幾分か重く感じる腰を上げる。
隊士の皆に甘味でも買って差し入れしようか、等と考えながら玄関へ行くと、土方さんと総悟がいた。
「雅焔、奏羽。出掛けるのか??」
「はい。する事が無いので、散歩して来ようと思いまして」
「じゃあ、俺が一緒に行ってやりまさァ」
「オメェは此れから見周りだろーが!!」
総悟の申し出は方向音痴の僕には有り難かったが仕事の方が大事なので気持ちだけ受け取っておく。
まぁ第一、土方さんがそんな事許さないだろう。
「お前等、街で銀髪の天パで死んだ魚のような目をしている野郎に出逢したら話すな、逃げろ」
「銀髪の天パで死んだ魚みたいな目……」
「判ったか??」
「……御意。ですが、雅焔さんは────」
奏羽自身も土方さんの言った要注意人物の容姿を訊いて反応したようだが、其れは一瞬の事。
しかし、奏羽は何時ものように冷静さを装いながら返答している。
「雅焔、土方さんの言う通りでさァ。関わったらいけませんぜィ」
「不審者とかなんか??」
「不審者より、もっとタチが悪ィや」
「判った。肝に命じておく」
銀髪の天パで死んだ魚みたいな目────そんな容姿の人はきっと、多分此の世に一人しか居ないと思う。
久し振りに甘味でも差し入れに、逢いに行こうか。
—————————──
道には色とりどりの傘の花。
晴れた日よりも道行く人が少ないのは、此の天気の所為で外出する気になれない人が多いからだろうか。
パシャパシャと水を弾く音、其れが小さな音と大きな音の二重奏のように聞こえる。
自分と奏羽の、足音だ。
「雅焔さん。何処に行くんですか?? 其れも甘味まで買って」
「ん?? ああ、銀髪の天パで死んだ魚みたいな目の不審者に逢いに行くんだよ。此れは手土産」
団子屋で三色団子とみたらし団子等の団子を数十本ずつ購入した僕等は、ある場所へと向かっている。
甘党である彼や、大食いの彼女もきっと喜んでくれる事だろう。
「あれだけ土方さんと沖田さんに言われたのに行くんですか?? 奏は如何なっても知りませんよ??」
「大丈夫だって。此れ渡したら、直ぐ帰るから」
「何時も其ればっかりじゃないですか」
と。小さく溜め息を吐く奏羽に謝罪して、僕等は足を速めた。
其の時、雨がうっすらと景色を霞みがけた気がした。
—————————──
「今日も依頼来ないですねェ」
お茶を啜っていた突っ込み地味眼鏡こと「志村新八」が、徐に言った。
そーだな。とソファーに寝そべり、新刊のジャンプを読む男────万事屋銀ちゃんの店主こと「坂田銀時」
何時もの事ネ。と新八の隣で酢こんぶを齧る此処に居候しているチャイナ娘こと「神楽」。
「何、他人事みたいに言ってるんですか。依頼が来なければ、今月も厳しいんですよ??」
「んな事言われてもなァ、来ねェものは来ねェんだよ。こうやってダラダラしながら、気長に待とうじゃねェか」
「銀さん、そう言いながら……もう三日も経ってますよ??」
「気長に待つ。なんて、ダメ大人の考えネ」
どうやら今日も依頼が来ない為、何時ものように部屋でダラダラする万事屋トリオ。
其の上家賃も払えておらず、新八は焦り気味のようだった。
其れでも冷静さを装う銀時に、新八は呆れたように溜め息を吐く。
「本当に如何するんですか?? 此の侭だと、又朝・昼・晩とふりかけご飯になりますよ??」
「私、ふりかけご飯食い飽きたネ」
不満を言う2人に対し、やはり銀時は至って冷静だった。
銀時はジャンプから目を逸らし、新八に視線を移す。
「心配すんなって。依頼は来ねェが、もう直ぐ食いもんが来るから」
そう言い終わると、またジャンプを読み始めた。
新八と神楽の2人は頭に「??」を浮かばせる。
其の時、家の玄関の外から「すみませーん」という声がした。
誰かが訪ねて来たようだ。
もしかしたら仕事の依頼かもしれない。
「今、出まーす」
と言って、新八は玄関に向かった。
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