二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 戦国BASARA弐【月夜の歌姫〜罪無き花〜】 ( No.41 )
日時: 2010/08/02 11:54
名前: ターフ ◆lrnC2c/ESk (ID: 8keOW9sU)
参照: http://yaplog.jp/000331/

第2話 〜企み、正体 PART4〜

「僕は殺し合う為に来たんじゃない。けど、君の返答次第では…」

半兵衛は真剣な顔で部下に視線を送る。
部下は応答したように、刀を更に農民の首に近づけた。

「——止めて、半兵衛っ!」
「止めないさ、如月。君も——豊臣に行くのだから」
「…そこいらの山賊風情と変わらねぇそのやり口。御託の割には浅い底が知れるってもんだぜ竹中半兵衛」

小十郎は下に刀を振る。
振る力が強い為か、小十郎の刀の音が響いた。

「フッ、手厳しいね。それほどに君を——欲していると言う事なんだけどね」
「テメェは伊達の流儀を分っちゃいねぇ!」
「分っているつもりだよ。名も無き領民の命と、主君たる政宗君の忠義。君は愚直に両方守ろうとする。すなわち、この場の君に勝ち目はないと言う事になる」

半兵衛は構えた小十郎を見て言った。
もちろん、自分の愛用する刀を持って。
如月も構え言った。

「悪いけど…私は豊臣なんかに行きたくないし、小十郎を引き取らせない」
「おや…そうかい。だけど、こっちにも事情があるんでね」

パンと自分の刀の峰を自分の手に振った。
それが合図のように、周りにいた兵は刀を煌かせる。
ジリジリと如月と小十郎は互いに後ろを守る体制になる。
死角もなくすぐに防御も出来る為だ。

「小十郎、よろしく頼むね」
「如月様こそ」

豊臣の兵は叫んで走ってきた。
如月は素早くクナイを放つ。
普通のクナイなら威力は普通なのだが、風の属性で速さを速めて威力倍増にする。
小十郎は攻撃を避けてから斬る。
しかも、倒す速さが半端ない。
次々と来る兵をなぎ倒す。

「キャァァァッ!」

農民の一人が部下だった兵に押され倒れる。
その農民を斬ろうとしたが、小十郎が素早く反応して倒した。
ついでにもう一人の方の兵も倒す。

「本当っ…あんた達ってムカつく」

如月は安心した後、日本刀を出し斬り捨てる。
いつもは赤い血が返ってくると怯えるが、関係が無い人達や小十郎を助けるとなると気にならなくなった。
いつの間にかまたゾロゾロと兵が来る。

「——小十郎っ!」

小十郎が農民を庇い兵に囲まれた。
如月は兵を蹴散らして、小十郎の後ろに戻る。

「なんて数…っ」
「——!」

如月が呟いたのを見た後、小十郎は殺気を感じ刀を振った。
その正体は…——生き物のように動く半兵衛の刀の刃。
半兵衛は容赦なくその刀を振るう。

「如月様、頼みます」

小十郎はそう言って、半兵衛に近付いて行った。
兵達は小十郎を斬り付けようとするが、その前に小十郎が斬ってしまう。
途中途中、半兵衛の刀の刃が襲い掛かる。
小十郎は跳ね返す。
如月は応戦しようとしたが…。

「——っ!?」

後ろに気にしてなかったせいか、兵の刀の峰で峰打ちされた。
ガクンッと来るが、足で踏み止まる。
その間に二人を斬り込もうと兵が刀を上げた。

「——!」

小十郎は、すぐさま距離を詰めてなぎ倒す。
だが、二人の後ろにいた兵が刀で峰打ちで気絶させた。

「こ、小十郎…」
「如月様…っ!」

意識が途切れ途切れの如月の姿を小十郎は見た。
近付こうとするが、半兵衛の刀によって遮断された。

「…片倉君とも、彼女には触れないでいてくれたまえ。彼女は——無傷で手に入れなければならないからね」
「テメェ…!」

如月はだんだん意識が無くなり——倒れた。
半兵衛はその様子を見て笑った後、小十郎の刀に自分の刀を絡みつかせる。
小十郎は絶体絶命に追い込まれた。
兵達は小十郎に近付いた後、ボコボコにする。
ボコボコにした後、小十郎は倒れる。
半兵衛は絡ませた小十郎の刀を投げ捨てる。
意識が少し遠くなる。

「っ、テメェ…っ」
「僕は卑怯だと思うかい、片倉君」
「——っ!」

小十郎は後ろから兵に掴まれた。

「時間がないと人は急いて見苦しくなるな——」

半兵衛の言葉の途中で、目の前が真っ暗になった。

———…

「如月は丁重に扱ってくれたまえ」

半兵衛は倒れている如月を見て言った。
一人の兵は了解して丁重に馬に乗せた。

「フフ…やっと夢が叶う。六年間の意味は成せたね」

三日月に向かって、半兵衛はまた笑った。