二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 戦国BASARA弐【月夜の歌姫〜罪無き花〜】 ( No.6 )
- 日時: 2010/07/23 20:14
- 名前: ターフ ◆lrnC2c/ESk (ID: 8keOW9sU)
- 参照: http://yaplog.jp/000331/
第1話 〜川中島 PART2〜
上杉軍と武田軍は未だにぶつかり合っていた。
「うおぉっ!」
「うわぁっ!」
だが、両軍の兵士が空へと上げられる。
その正体は、謙信と信玄の上で行われていた。
ガキンッとクナイ同士の音が鳴る。
そこには迷彩柄の忍と黒い忍の二人。
迷彩柄の名は猿飛佐助で、黒い忍がかすが。
彼らは幼い頃から同僚であったが、今では敵対している。
「お館様っ!」
「謙信様っ!」
彼らは主君の名を叫び呼んだ。
だが、重い風圧に少し目を瞑る。
目を少し開くと、双方の武器が後なんぼかで切られると言うギリギリの位置だった。
「なんとした佐助」
「どうしましたかすが」
かすがは謙信の声に反応し答える。
「火急の知らせが」
「北西より大軍勢、奇襲です」
かすがの言葉を合わせたように佐助は言った。
———…
「ぐぉぁっ!!」
政宗の攻撃を防ぎきれず、幸村は押された。
ズザァッと音を出して何とか踏ん張る。
少し苦しそうな顔で言葉を漏らす。
「握る…拳はっ…!火山の如くぅっ…!」
その言葉の途中で、政宗は六爪流を構え直す。
幸村はボロボロでいても、立ち上がろうとした。
「真田…幸村…っ、立ち止まる事…な、しっ!」
だが、足が立ち上がろうとする幸村を裏切る。
ガクガクとし、今でも膝を付きそうだ。
「勿体ねぇ男だが…決まりだ」
小十郎は幸村の姿を捉えて、そう呟いた。
「…可哀想だね、あの武将」
如月は少し悲しい顔をする。
彼女は平和主義の為、あまりこのような戦は好まない。
だが、戦国の世は討ち取らなければ自分が終わってしまう。
「仕方がありませんよ、如月様」
「…えぇ」
悲観する彼女の事は、小十郎も分っていた。
だが、情は悪い方向へと転換するもの。
小十郎はゆっくりと腕を上げ、前に勢いよく振り下ろす。
伊達軍の部下達はその意味を知っている為、突っ走った。
政宗と幸村の場所を避けて行く。
政宗は少し悲観そうな顔で幸村を見つめる。
幸村は息が上がっている為、まともに呼吸が出来ない。
先導に走っていた小十郎と如月は武田と上杉の軍に向かう。
だが、馬の足音が聞こえた。
「——小十郎、止まって!」
「——っ!」
小十郎は即座に止まり、政宗の方向を見る。
政宗はピンと片方の三爪を上げる。
幸村の最後のとどめをする為だ。
だが………———。
「——小十郎、止まって!」
「——…ん?」
如月の声により政宗は止まった。
幸村は呻き声を出す。
「うぁっ…うぅ…あ……ぁぁ」
呻き声を発した幸村は、膝を地面に付かせ倒れる。
政宗は気にせず片手を下げた。
ザッザッザと兵の足音が響き渡る。
しかも、凄い数の兵が出て来た。
そして、兵達は呼吸が合ったように止まる。
「——ん、あ…?」
政宗は近くの崖の上を見た。
そこには…——大きな体の大男が仁王立ちをしていた。
その男の隣に紫の仮面の男がいた。
大男の名は豊臣秀吉で、紫の仮面の男は竹中半兵衛。
一瞬にして、川中島は彼らの軍によって包囲された。
だが、一人…——何かを怯える様な小さな声。
「——ぁっ…!…な、んで?」
如月は少し体を震える。
半兵衛は左手を前に出し言う。
「川中島に集う全武将、全兵士に告げる。この戦場は僕達豊臣軍が包囲した。豊臣の軍門に下りたまえ。降伏の暁には、全ての者に確たる処遇と労等の安堵を約束しよう」
「…ぬかったわ」
信玄は言葉を漏らした。
半兵衛は手を上げる。
すると、兵は時間差で槍を突きつけるようにする。
その様子を見た後、信玄と謙信は目線を合わせる。
そして、信玄の斧が上へと上げられた。
近くの弓兵は矢を構える。
謙信も同じく構えた。
如月はその様子を見て叫ぶ。
「——駄目だ!矢を放つな!」
「放て!」
「うむっ!」
だが、彼女の声は届かない。
何故なら、叫ぶと同時に矢が放たれたからだ。
半兵衛は叫んだ声に少し反応し、叫んだ如月の姿を捉えた。
「——やっと…見つけた…!」
竹中半兵衛はニヤッと笑った。
秀吉は何も動かない。
矢がギリギリ来た時に、秀吉は前に数歩歩いて行く。
そして………———。
「うんぬぅわ!」
覇気で矢を全て返した。
その姿を見た如月は…——また震えた。