二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 戦国BASARA弐【月夜の歌姫〜罪無き花〜】 ( No.9 )
日時: 2010/07/21 18:00
名前: ターフ ◆lrnC2c/ESk (ID: 8keOW9sU)
参照: http://yaplog.jp/000331/

第1話 〜川中島 PART3〜

「ぐぁっ!」

武田軍、上杉軍の兵達に矢が刺さる。
それは一人一人とまるで…——逆鱗に触れてしまった罪のように。
信玄は微動せず、謙信は軽く馬を動かし避ける。
兵達の悲鳴と赤い血を聞いた如月は涙を流した。

「やっ…!嫌っ…!嫌ぁっ…!」
「如月様っ!」

行き成り怯え叫びだした如月に気づいた小十郎は近づく。
如月は頭を抱えうずくまった。

「嫌っ…!嫌よっ…!」

その光景を見続けられない如月は、あの頃の光景を思い出していた。
自分では罪無き花のように思っていた。
だが本当は…——罪のある棘の薔薇。

「フフ…如月は、あの頃を思い出しているそうだね」
「…我には関係ない。ただ——あやつは我の願いの為に必要な人材だぞ、半兵衛よ」
「分っているよ、秀吉。僕だってちゃんと考えはあるからね」

少し笑みを漏らした。
政宗達は少し唖然としている。

「うっ…」

政宗にやられた幸村は目を覚ました。
すると、秀吉が力強く一歩進んだ後止まる。

「うんぬぉわ!」

止まった後、力強く腕を上げ雲行きが怪しかった雲が秀吉の真上だけ明るくなった。
その芸当に、信玄も謙信も唖然とし驚く。
政宗は突っ立って、秀吉を睨んでいた。
小十郎は如月が少し叫ぶのを止めたのを見据え、部下に目線で命令した。
部下の三人位かは頷いて、少し如月の近くに馬を歩ませる。
秀吉は、見据えた後腕を下ろし大きく声を発した。

「我が名は豊臣秀吉。我の前に屈し、我の下で一つとなれ!強き兵として、この国を止めんが為に」

その台詞を聞いた政宗は、前へと出る。

「新参者にしちゃあ、結構なPerformanceだな。だが、どうも——Coolじゃねぇ」

バチバチと電気を溜めているような感じの音が、政宗の六爪流から聞こえた。
政宗は相当怒っているのだ。
行き成りの…——楽しみを取られて。
半兵衛は政宗を見て口を開く。

「伊達政宗君、か…。やはりね」

少し予想していたような感じの雰囲気を漂わせた。
その政宗の後姿を見つめていた幸村は、気力の無い声を吐き出す。

「政宗…ど、の…」

力尽きたせいか、途中途中ぼやけてかすむ。
ササッと、幸村の援軍の真田忍隊が現れる。

「あ〜あ、派手にやられちまって」

迷彩柄の忍、猿飛佐助は雇い主である幸村にため息を付いた。
真田忍隊の部下二人に目線で命令し、肩を貸す。
少し激痛が走ったのか、幸村は少し呻き声を出した。
佐助は様子を見て言う。

「さて、どう切り抜けますかねぇ?」

その言葉を吐いた佐助に小十郎は近づく。

「…片倉の旦那」

小十郎は政宗の後姿を見続ける。
見続けた後、佐助を見て言った。

「猿飛、伝令を頼む」

———…

「我に従え。従わぬ者には容赦せぬ」
「Ben Louve.喧嘩なら買ってやるぜ。竜の鱗の一枚も剥がせりゃ——あんたの言う事を聞いてやるよ!」

政宗は自分の刀を秀吉に差し向ける。
秀吉は政宗を睨んだ。

「分を弁えろ、小僧よ。己の器を思い知るか」

秀吉の言葉に、政宗は覚悟の目を光らせた。

「…上等だ。久しぶりに虫踏みらすほど気にいらねぇ」
「政宗様っ!」

小十郎は即座に政宗の近くに行き構える。
近くに来た小十郎に政宗は返す。

「小十郎、手出しすんなよ?」

だが、小十郎は聞かずに後ろの方へと少し見る。
武田信玄の下には佐助、謙信の下にはかすがが小十郎の伝言を伝えた。
双方は、理解した模様で小十郎の方へと見る。
小十郎は少し見た後、前を向いた。

「貴台の名称甲斐の虎、越後の軍神、そして奥州の独眼竜…。少し勿体無いけど、潰すしかなさそうだ」

少し苦笑したように半兵衛は呟いた。
秀吉は表情を一つも変えずに言う。

「構わん、我らが欲するのは——兵のみ」
「——奥州筆頭伊達政宗、推して参る!」

自分の刀を構え、政宗は秀吉狙いで跳んだ。