二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒執事  ‐Knightmare Of a Devil‐  ( No.106 )
日時: 2011/06/06 21:23
名前: キリン (ID: ucEvqIip)

第三五話;その執事、約束


「・・・・ここまでが、私がお話できることの全てです」
「全て?はっ、笑わせるな。その男との契約内容がまだだ。
 セレスティ、お前は一体そいつとどんな契約を交わしたんだ」


眠りから覚めたセレスティを待っていたのは、
シエルからの詰問だった。
冷たい視線を浴びせるシエルは、セレスティに真実の吐露を要求する。
しかし、セレスティは断固として口を開こうとはしなかった。
契約にいたる経緯までは話したものの、それ以上を語ろうとしない。
・・・怒りが頂点にきたのか、シエルは黙って部屋を出て行ってしまった。

沈黙に包まれるなかで、静かに主人を見守っていたセバスチャンが口を開いた。


「セリー、お腹は空いていませんか?目が覚めてから坊ちゃんからの質問攻めで疲れたでしょう。
 バルドに言って何か「兄様、」・・・なんですか、セリー」

セバスチャンの言葉を遮り、セレスティは声を出した。
・・・・・緊張しているのか、声がかすれている気がする。


「兄様は、何も聞かないのですね・・・・・<セレスティになったとき>のこと・・・・・」
「聞いてほしいのですか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」


黙るセレスティにそっと、淹れたての温かい紅茶を差し出す。
振動で水面が揺れ、映るセレスティの顔がぐにゃりと歪んだ。


「・・・・・・・<約束>ですからね、貴方との・・・」
「・・・・・・・・・・・・・やく、そく・・・・・・・・・」





---------------------------あの時の・・・?-------------------------


「そうですよ。あの時の簡素な約束、それで居て強力な・・・ね」
「・・・・・・・・約束を、守ってくださるのですか・・・」
「それが貴方の望みであるのなら」


<      >。
そっと紡がれたのは、セレスティの真名で。
真実を示していた。









『お願いがあるんです』
『お願いですか?貴方からとは、珍しいですね』


あの祝賀会でのダンスホールでのこと。
まだ仕えるべき第二の主がいたときのこと。
セレスティは、セバスチャンに願掛けをした。




『たとえ、何があっても・・・・・・・・・・・・








                 

             ・・・・・私を、信じていてください』







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「お父様、おやすみなさいませ」
「おやすみキャティア。良い夢を」


キャティアと呼ばれた少女、フィオリアは男に眠りの挨拶を告げた。
男も、片手を振って挨拶を返す。

扉が静かに閉まったのを確認し、男は口元を弧に描いた。

「さあセレスティ、約束の時間はもうすぐだよ・・・・・・・・・・」




悲劇の最終章フィナーレの開幕は、もうまもなくだ・・・。