二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒執事−knightmare Of a Devil− ( No.12 )
- 日時: 2010/07/23 16:50
- 名前: 泡沫 ゆあ (ID: 7rIzYjoN)
第五話;その執事、因縁
「まさか、貴方がこんな所にいるとは思ってもみませんでしたよ。
・・・・・・・なぜこんな所に?」
セバスチャンが口元に手をあて、くすりと厭味ったらしく笑う。
「・・・・・過去の因縁を果たさせてもらいに来たんだ。
だからお嬢様に仕えて、貴様に近づくチャンスを窺っていた。
・・・・・・・・ようやっと、貴様を殺す日が近付いてきたんだ、逃がしてたまるものか」
セレスティがギリ、と歯を食いしばってセバスチャンを睨む。
そんな反応を楽しそうに見ているセバスチャンが、言葉を紡ぐ。
「前に会った時の貴方は、屈辱に表情を歪めていましたっけ?
そして今と同じように<殺してやる>、と連呼していましたね。
・・・・・・・出来るものなら、いくらでもどうぞ?」
余裕のあるその言葉に、セレスティはカッとなる。
「・・・貴様はいつだってそうだ!!いつだって私を見下す!!!
貴様が私の<アレ>だからといって、許されるとでも思っているのか!!!!」
ギュッと拳を握って、怒りをセバスチャンにぶつけるセレスティ。
瞳には憎悪の炎が宿っている。
「・・・・本日はこのくらいにしておきましょうか。
坊ちゃんも居らっしゃることですし」
ちろりと後ろの馬車に視線を送るセバスチャン。
馬車の小窓のカーテンの隙間から、シエルがこちらを見ているのがわかった。
・・・・・疑いの眼を向けている。
「・・・・・・そうですね。この先、貴方がたと接触することもあるでしょうし」
落ち着きを取り戻したセレスティは息を吸うと、右手を腹に、左手は背中に置き。
ゆっくりと体を折り、見送りの言葉を贈る。
「それでは、御機嫌よう」
「・・・・・・セバスチャン。あいつらは一体何者なんだ」
走る馬車の中で、不機嫌そうに問うシエル。
「フィオリア様は、坊ちゃんに近いお方ですよ。
とても、とても近い・・・・・・坊ちゃんに似て非なる、ね」
「似て非なる・・・・・だと」
眉間に皺を寄せ、心外だとでも言いたげな顔をしている。
「私は嘘を吐きません。主人に忠実な下僕(しもべ)ですから。
・・・・・・そして、私と<彼女>も・・・」
最後に呟かれた言葉が、シエルに届くことは無かった。