二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒執事−knightmare Of a Devil− ( No.16 )
- 日時: 2010/07/24 23:15
- 名前: 泡沫 ゆあ (ID: h9T9UkU2)
第六話;その執事、祝賀
「で、なんでお前がここに居るんだ?フィオ」
シエルが眉間に皺を寄せて声を発する。
そんなシエルの前には、薄桃色のドレスに身を包んだフィオリアが居た。
「あら、私も招待されたんですのよ?きちんと正式に。
伯爵はご存知では無かったかと思いますけど、エリザベス嬢とは友人ですの」
にこりと笑うフィオリアだが、今のシエルには悪魔の笑みにしか見えない。
そんな嫌悪の念を感じたのか、フィオリアはもっと笑みを深くする。
「そんな顔をしないでください、伯爵。
今日はエリザベス嬢の誕生パーティですわ!
もっと楽しく過ごさないと嬢が悲しんでしまいますわ」
今日はエリザベスの誕生日を祝ったパーティが催されていた。
服を贈るから、絶対着てきてね!!と念を押されたのはつい数日のこと。
エリザベスに弱いシエルは断ることも出来ず、贈られた服を着てパーティに参上した。
そんなパーティ会場で鉢合わせしたのが、フィオリアとセレスティである。
「エリザベス嬢はミッドフォード公爵夫人と来賓者とご挨拶に行かれましたわ。
・・・少しの間、嬢がお帰りになられるまで、お話しませんか?伯爵」
真剣な眼差しを向けてきたフィオリア。
一瞬考えたが、フィオリアを探る良い機会だと思い。
「ああ、わかった」
フィオリアに促される儘に外へと足を運ぶ。
「・・・・・・・セバスチャンとセレスティは着いて来ないでね?
二人きりで話したいことだから」
口元に人差し指を持っていき、シー。と言いたげに口端を持ち上げる。
「・・・・イエス・マイハイネス」
セレスティは腰を折る。
「・・・着いて来るなよ、セバスチャン」
シエル(主人)にそう言われれば、従うのが執事の美学。
「イエス・マイロード」
セバスチャンも恭しく腰を折った。
「折角だから、執事同士話をして来たらどうかしら?
・・・・・・・・きっと、話が弾むと思うわ」
それだけ言うと、フィオリアとシエルは行ってしまった。
「・・・・だ、そうですよ?<セリー>」
クスリとセバスチャンが笑う。
「・・・お嬢様の命令だ。従うしかないだろう」
頭一つ分と少しの身長差がある二人(勿論大きいのはセバスチャンだ)。
隣に並んでみると、さながら・・・・・・。
「で?何の話がしたいんだ」
「もう・・・・せっかちですわね、伯爵は。
そんなことでは令嬢に嫌われてしまいますわよ?」
ミッドフォード邸の中庭に二人はいた。
美しい花々が咲き誇る庭に囲まれて、まるで童話の世界だ。
「・・・・私、伯爵に伺いたいことがあるんですの」
「僕に答えられることなら、答えるが?」
庭に咲く赤い薔薇を眺めながらフィオリアは言った。
どこか懐かしさを感じたシエルは、その様子をじっと見ている。
「もし、伯爵の大事な人を<誰か>に殺されたら、伯爵はどうなさいますか?」
鼓動が、一瞬激しくなった。
「・・・・どうもしない。復讐(仇討ち)など、残された者の自己満足にしかならない。
僕なら、<僕自身>のために真相を突きとめ<犯人>を殺す。
・・・・・受けた屈辱と痛みを返してな」
フイ、と視線を外す。
それを気配で感じ取ったのか、フィオリアは話し出す。
「・・・やっぱり、思ったとおりですわ。
伯爵と私、とてもよく似ている・・・・・とってもね。
私の意見も同じですわ。私も同じことをすると思うんですの。
・・・・・いえ、<します>わ」
その発言に驚き、目を見開くシエル。
「・・・・ふふ、どうしたんですの?伯爵。
<もしも>の話ですわよ?びっくりし過ぎですわ・・・・っ!!」
急に声が途切れたのを不思議に思い、視線を戻すと指を抑えたフィオリアが目に入った。
「・・・・・棘にやられたのか」
胸に入っていたハンカチを取り出し、フィオリアの指を包む。
「・・・優しいんですのね、伯爵」
「・・・令嬢にきらわれるんだろう?」
少し厭味を含んで言ってみると、そうですわね。とフィオリアは笑った。
手当てをしようと中に戻る。
すると、パーティ会場が騒がしいことに気付いた。
「何かあったのかしら?」
「あった、んだろうな・・・」
そんな二人のところにエリザベスが慌しく走ってきた。
「大変よ!!シエル!フィオ!今広間をダンスフロアにしてるんだけどね?!そこで・・・・」
エリザベスの言葉を聞く前に人垣の間からその様子が見えた。
そこには・・・・・。
「「!!!!!!!!??????????」」
予期せぬ光景が飛び込んできたのであった。