二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒執事−knightmare Of a Devil− ( No.17 )
日時: 2010/07/25 00:15
名前: 泡沫 ゆあ (ID: h9T9UkU2)

第七話;その執事、舞踊


「あ、あれは・・・・」
「まさかとは思うけど・・・・・」
人垣の間から見えた光景に目を疑った。
「セバスチャン?!」 「セレスティ?!」
二人の執事が、ダンスフロアの中心で踊っていたのだ。
セバスチャンは、黒を貴重としたタキシードを着ていて、どこかの貴族のよう。
一方のセレスティは、赤を貴重としたドレスに、真っ赤な髪飾りを髪に差していて、
セバスチャンに負けず劣らず、品のよい貴族に見える。
「あいつ等・・・・いつの間に」
「どこで着替えたのかしら・・・・」
お互いにお門違いなことを言っているが、気にしている余裕などない。
「・・・・このままにしておきませんか?
 執事同士、積もる話もあるでしょうし・・・・・ね?」
フィオリアにそう言われ、止めにいくのも面倒なのでその提案をシエルは受け入れた。
「あ、シエル!!贈った服を着て来てくれたのね!!!
 とっても嬉しいわ!ねえフィオ、シエルとっても可愛いでしょ?」
「ええ。伯爵らしからぬ可愛らしい雰囲気が醸し出されていますわ」
「なっ!!!!!!」



「・・・お嬢様が帰ってきた。そろそろ離してくれないか」
主人達が話しているのが視界に入ったのか、セレスティが少し焦ったように言う。
「良いではありませんか。あちらはあちらで楽しそうにしていることですし。
 ・・・・それにダンスに誘ったのは貴方じゃないですか」
余裕たっぷりの笑みを浮かべたセバスチャンに、セレスティは苛々を募らせる。
「誘っていない!!貴様より上手く踊れる自信があると言っただけだろう?!
 誤解を招くような発言をするな!!」
周りの目もあるので、最小限の大きさの声で話す二人。
セレスティの必死な様子を見て、セバスチャンは更に笑みを濃くする。
「本当に貴方は変わらないですね。昔のままだ」
「・・・変わらないことなんて無い。あの頃とは違う、もう子供じゃない。
 だから、ここに来たんだ。・・・・貴様を殺すためにな」
握っている手に力を込めるセレスティ。
そんな彼女の手を、逆にセバスチャンは強く握り返す。
「っ!!」
「・・・貴方は何も変わりませんよ。昔と同じ、可愛らしくて・・・・・とても弱い」
そう言われたセレスティは目を見開き、俯く。
「絶対・・・・・殺してやる・・・・・・・・・」
ボソリと呟かれた言葉に、セバスチャンは満面の笑みを浮かべた。



「・・・・・ハメを外し過ぎじゃないのか?セバスチャン」
「そうですね・・・・。私としたことが、主人より楽しんでしまって申し訳ございませんでした」
「・・・一言多い」
セバスチャンの厭味に軽く腹を立てるシエル。
「何の話をしていたんだ?あの女執事と」
視線を寄越さずに問うと、セバスチャンは軽く笑った。
「ある、約束をしたんですよ」
「約束?」
意外だ。とでも言いたい顔をしてシエルは振り返る。
「はい。約束、です」
交わされた執事同士の約束。
その内容が明かされるのは、もうすぐそこである。