二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 黒執事−knightmare Of a Devil− ( No.21 )
- 日時: 2010/07/26 20:00
- 名前: 泡沫 ゆあ (ID: h9T9UkU2)
第八話;その執事、哀愁
「・・・・ねえ、ねえったら。ちょっと、セレスティ?聞いてる?」
何度も呼びかけられて、やっと気が付いたのか、肩を大きく跳ねさせるセレスティ。
「!!・・・・申し訳ございません、お嬢様。何か御用でしょうか」
フィオリアが心配そうに見上げている。
失態を気にして、セレスティは膝を付き詫びるがフィオリアは気にしていない。
むしろ、セレスティを心配しているようだ。
「最近呆けていることが多いわ。何をしていても上の空だし・・・・。
エリザベス嬢の誕生パーティの後からかしら、おかしくなったのは」
ふと思ったフィオリアがそう言うと、セレスティはドキッとした。
その一瞬の変化に、観察力の鋭いフィオリアが気付かないわけも無く。
「・・・・セバスチャンと何かあったのね?」
にやり。と擬音が付きそうな笑みを浮かべながらセレスティに近づく。
「何があったの?楽しそうに二人で踊ってたじゃない?
あれからすごく気になってたのよね・・・・・。
この際だから、全部話しちゃいなさいよ!!ぱぁっと、ね?」
目をいつも以上にキラキラと輝かせて迫ってくるフィオリア。
期待を裏切るようで心苦しかったが、セレスティはフィオリアの肩をそっと押し戻す。
「申し訳ありませんが・・・・・セバスチャン殿との秘密ですので・・・・」
深い意味は無かったのだが、フィオリアはまあっ!!と黄色い声を上げた。
「良いわ、セレスティ!!何も言わなくても!!
大丈夫!!私は<そういうこと>に関しては何の偏見も無いから!!!」
「?!お、お嬢様!!??そういうこと、とは何のことですか?!」
一人盛り上がるフィオリアに、慌ててセレスティが止めに入る。
「あら?二人は恋に落ちたんじゃないの?」
きょとん。と可愛らしく目を開き、首を傾げるフィオリア。
その言葉に顔を真っ青にして否定する。
「っ、あ、有り得ません!!!あんな、あんな奴と恋など出来るわけがないでしょう?!」
冗談はお止めください。と心底嫌そうにフィオリアにため息混じりに伝える。
えー?!と残念そうに声を上げ、先ほどから続けていた書類整理を再開する。
その様子を少し離れたところから見ようと、セレスティは移動する。
「・・・・・・恋、か」
誰にも聞こえないような声で呟く。
「私と<彼>とでは、無理ですよ・・・・お嬢様」
悲しげに吐かれた言葉は、虚しく部屋に消えていった。