二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 黒執事−knightmare Of a Devil− ( No.35 )
日時: 2010/07/27 10:53
名前: 泡沫 ゆあ (ID: h9T9UkU2)

第十二話;その執事、涙々るいるい


「私、ずぅっと楽しみにしていましたの。
 こうして、伯爵と舞台の上で踊りあえる日を」
フィオリアは頬を桃色に染めて、シエルを見つめる。
その暖かな視線を感じつつも、シエルは悪の貴族ファントムハイヴで在り続ける。
「お前を殺す。それだけは絶対に変わらない」
「・・・・殺す?私を?」
そうだ。シエルの肯定の言葉を聞き、フィオリアは悲しげに笑った。
「それは、無理ですわ。だって私は−−−−−」



「お嬢様を殺すつもりなら、容赦なんてしない!!」
人間を凌駕した運動神経を持つ二人は、空中で戦いを繰り広げていた。
一人は主人の命令を遂行するため。
一人は主人を守るため。
「坊ちゃんに殺せといわれたら、それに従うのが執事の美学。違いますか?セリー」
セレスティの蹴りをものともせずにかわすセバスチャン。
「っ、それでも・・・・・ぅあっ!!!!」
セレスティの一瞬の隙を突いて、セバスチャンは腹に蹴りを決める。
重力に逆らい、落下していくセレスティ。
アスファルトの地面に叩きつけられ、呻き声を上げる。
音も無く下りてきたセバスチャンは、迷うことなくフィオリアの方へ歩いていく。
「っ、待て!!!」
残っている力で、セレスティはセバスチャンの足を掴んだ。
「お嬢様を、殺さないで・・・・・お嬢様は・・・!!!」
言い終わる前に、セバスチャンはセレスティを蹴り上げる。
体力が残っていないのか、地面に突っ伏したまま動かない。
「・・・・さて、坊ちゃん。ご命令は?」
フィオリアの前に立ち、再度シエルに問うセバスチャン。
「・・・・命令だ。フィオリアを殺せ」
「イエス・マイロード・・・・」
そして、一つの小風が吹いたかと思うと。
フィオリアの体からは鮮やかな赤が飛び散り、そのまま地面に倒れていった。
「っっっっお嬢様!!!!!!!!!!」
夜の闇に、悲しくその声は響き渡った。